デリバリー“開かれたキッチン”奨励 広がる「食の安全」法制化で厳格審査

2016.8.22 05:00

 上海市は先頃、「上海市インターネット飲食サービス監督管理弁法」を公布、9月1日から正式に実施されることになった。インターネット上での飲食サービスを監督・管理する関連規定は、上海のほかにも北京市や浙江省、四川省、福建省など多くの省・市で発表されており、食品経営許可証の有無やデリバリースタッフの健康状態確認などについて、審査を厳格に行っていく内容となっている。

 ◆調理後2時間規定

 「食品安全法」では、インターネット上で食品の取引を行う第三者サイトの運営者に対し、サイトへの加入を希望する飲食企業の経営者に実名登録を義務づけることで、食品の安全管理責任の所在を明確にすることを要求。法に基づき、必要とされる許可証取得の義務づけとその審査を行うよう求めている。

 上海、北京、福建などの省や市の規定ではこれに加え、第三者取引サイトに対し、サイト上に食品経営許可証に関する情報を載せることなども要求。福建では食品経営許可証の番号、有効期限、審査を受けた際の名称、住所、経営項目などの情報についても第三者取引サイトの目立つ場所に記すことを求めている。

 デリバリー時の包装に関しても、各地の監督・管理関連規定で定められている。北京、四川、福建などでは比較的厳しい内容で、食品の容器を包む袋の上に、調理を行った時間と消費期限の明記が義務づけられた。上海や浙江、遼寧省では比較的緩やかで、これらの表示を奨励するにとどまっている。

 監督・管理関連規定では、デリバリーの所要時間についても定めている省・市がある。

 注目すべきは遼寧と浙江が規定している調理完成後2時間以内にデリバリーを行うという厳格な時間制限。これによって、消費期限内の飲食を保証するためだという。

 このほか、上海や北京をはじめとする多くの地域がデリバリースタッフに健康証明の取得を要求しており、上海では「食品安全法」に準拠したデリバリースタッフの健康管理制度を制定。国務院(内閣)の衛生行政部門が規定している食品の安全に差し障りがあるとされる疾病を抱える人がデリバリー業務へ従事することを禁じている。

 北京、福建、浙江などの省や市では飲食企業の経営者に対し、調理加工の過程をインターネット上で配信し、消費者の監督を受けることを奨励している。

 福建では飲食企業の公式サイトもしくはサービスを提供している第三者サイト上に、調理を行っている厨房(ちゅうぼう)の写真もしくはリアルタイムの動画でみられるようにすることを奨励することで、インターネット上の飲食サービスでの“開かれたキッチン”を推し進めていく考えだ。

 ◆違反で永久停止も

 消費者の権益保護を目的とし、不適切な状況でサービスを行った飲食企業への懲罰についても、各地で定められている。

 北京、上海、浙江などでは第三者サイトに対し、消費者への賠償金の前払い制度を樹立するよう呼びかけ。浙江を例にみると、第三者サイトを利用した注文でトラブルが発生した場合、消費者はサイト運営会社や飲食企業の所在地にある食品薬品監督管理部門に訴えることができるとしており、第三者サイトが先行賠償することを規定している。

 また遼寧では、消費者からのクレームが相次いだり違反行為が発覚した飲食企業に対し、検索結果の順位付けで調整措置を行ったり、一時的もしくは永久に第三者サイトでのサービス提供を停止、注意を促す情報を公表するといった措置をとることを提案している。(中国新聞社)

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