「手離し65秒」で手動に切り替え 国交省、自動運転車初の安全基準を義務付け

2017.10.14 06:15

 国土交通省は自動運転車に関する初の安全基準を導入した。高速道路などを自動走行する際、ドライバーがハンドルから65秒以上手を離すと手動運転に切り替える仕組みを搭載することを義務付けた。2019年10月以降の自動運転機能を備えた新型車が対象。現在販売されている車種は21年4月から適用し、中古車は対象外とした。

 高速道の同一車線を自動走行できる機能を備えた車が普及し始めているのを踏まえ、システムを過信した手離し運転による事故防止につなげる狙い。統一的な基準を示すことでメーカー側も目指すべき要件が明確になり、技術開発を円滑に進められるようになる。国連傘下の専門家会議が作成した国際基準に合わせ、国交省が10日付で保安基準の告示を改正した。

 安全基準によると、15秒以上手離しで運転すると、運転席に警報を表示。そのまま手離し運転を続けると50秒後に自動運転のシステムが停止して、手動に切り替わるプログラムなどの搭載を義務付けた。

 基準ではほかに、危険を察知したドライバーがハンドルに少し力を入れると手動運転に切り替わる仕組みや、自動駐車する際は周囲への危険を考慮し、時速10キロ以下で走ることも規定した。国交省は今後、国際基準にのっとり、自動運転による車線変更に関する基準などの策定も急ぐ。

 高速道の同一車線を自動走行できる機能は、SUBARU(スバル)のワゴン「レヴォーグ」、日産自動車のミニバン「セレナ」などに搭載されている。

 千葉県八千代市で自動運転中のミニバンが起こした事故などを受け、国交省は今年4月、現在実用化されている自動走行機能はドライバーの操作を手助けする技術水準で、運転中はハンドルを握るよう注意喚起していた。

 自動運転をめぐっては、国交省などが今秋から公道での実証実験を開始。政府は25年までに人が一切関わらない完全自動運転車の実用化を目指し、関連法令の整備を進めている。

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