【中国共産党大会】尖閣、南シナ海…海洋強国アピール 台湾独立「断じて許さぬ」

2017.10.18 21:59

 【北京=藤本欣也】中国共産党の習近平総書記は18日の党大会で行った政治報告で、1期目の実績として南シナ海における軍事拠点化の推進を挙げ、領有権を主張するスプラトリー(中国名・南沙)諸島などで強引に進めた人工島建設を正当化した。

 軍の実績においても、テロ取り締まりや国際平和の維持などとともに、「海上権益の擁護」を効果的に遂行したと自賛。2期目以降も「海洋強国の建設を加速させる」とアピールした。

 1期目の習指導部は、日本が2012年9月、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化した直後に発足した。以後、中国公船による領海侵入を急増させ、「予断を許さない状況」(菅義偉官房長官)となっている。

 国営新華社通信は今月、習氏が進める大国外交について、「釣魚島(尖閣諸島の中国側呼称)問題で原則を堅持し、国家領土を守るという中国政府と人民の決心を十分に示した」と称賛する論評を配信した。

 南シナ海での領有権問題をめぐっても、習指導部は中国の主権主張を否定した昨年7月の仲裁裁判所の裁定を無視。人工島での軍事拠点化を進め、国際法を無視した力による支配を続けている。

 中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の間で対話による解決が模索されているが、「党大会までは国内外の安定を最優先にしていた中国が今後、強硬姿勢に転じかねない」(外交筋)との懸念も出ている。

 こうした中、「中華民族の偉大な復興」を掲げる習指導部は9月から、「愛国」教育を一段と強化。チベットや新疆のほか、尖閣、南シナ海、台湾を「わが国の不可分の領土」と位置づけた新たな小中学校の教科書が使用されている。

 習氏は18日の政治報告で、香港や台湾における独立の動きを念頭に「国家の主権と領土保全を断固として守り、国家の分裂という歴史的悲劇が繰り返されることを断じて許さない」とも強調。台湾を名指しして、「『台湾独立』勢力によるいかなる形の分裂活動も打ち破る意思と自信と能力がある」と断じた。

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