所得税改革、税収1千億円増を検討 平成30年度税制改正で 給与、年金など控除一体見直し

2017.11.28 21:40

 政府が、平成30年度税制改正で最大の焦点となっている所得税改革をめぐり、制度見直し後の税収が差し引きで1千億円程度増える案を検討していることが28日、分かった。ただ、この見直し案をめぐっては、与党内でも「所得税改革は多様な働き方に即して改めるのが筋だ」として慎重な意見も強く、政府・与党内での調整は難航しそうだ。

 自民、公明両党の税制調査会は28日、会合を開き、所得税改革の調整を進めた。今回の改革の柱となるのが収入から差し引ける3つの「控除」の見直しだ。

 具体的には、会社員が受けられる「給与所得控除」と年金受給者が受けられる「公的年金等控除」を一律で引き下げる。一方で、全ての人に適用される「基礎控除」(38万円)を一律10万~15万円程度引き上げ、高所得者については段階的に縮小。年収2500万円超で基礎控除がなくなる年収制限の導入も検討する。

 これまでの検討では、年220万円の給与所得控除を受けている年収1千万円超の会社員は、基礎控除の引き上げ幅より、給与所得控除の縮小幅が大きくなって増税になる方向が固まった。それに加えて年収800万~900万円超の会社員の給与所得控除も引き下げて負担増にする方向だ。

 政府・与党は12月の税制改正大綱決定に向け、幅広い案を検討するが、与党内では、増税対象が増えかねない見直し案について「税収を増やすのではなく、多様な働き方に対応するのが改革の狙い」(税調幹部)として、慎重論も根強い。

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