クロマグロ漁獲増協議 日本が再提案 北太平洋会合開幕

2019.9.5 09:18

 日本近海を含む北太平洋海域のクロマグロの資源管理を話し合う中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の北小委員会が3日(日本時間4日)、米西部オレゴン州ポートランドで開幕した。日本は資源量が回復基調にあるとして漁獲枠の拡大を再提案。昨年は資源枯渇を懸念する米国などの反対で実現しなかったが、6日までの議論で合意を目指す。

 北小委員会は日米や韓国、台湾など10カ国・地域で構成。冒頭、議長の宮原正典農林水産省顧問が「議論が有意義なものとなるようにしたい」と呼び掛けた。開幕後に共同通信などの取材に応じた日本代表の太田慎吾水産庁資源管理部審議官は、日本の漁業者が実施している厳格な漁獲規制の取り組みを紹介するなどしながら「増枠提案が通るよう頑張りたい」と意欲を示した。

 ただ米国などを説得できるかどうかは不透明で、合意のハードルは高い。輸出規制や軍事情報包括保護協定の破棄を巡り関係が悪化する韓国との間で調整が難航する可能性もある。

 クロマグロは高級すしネタや刺し身で人気だが、乱獲などで資源が激減した。親魚の資源量は2010年には過去最低水準の1万2千トンまで落ち込んだが、日本はその後の漁獲規制などで資源が回復基調にあると主張。30キロ以上の大型魚で20%、30キロ未満の小型魚で10%の増枠を求めている。

 クロマグロの16年の資源量は約2万1千トンと緩やかに回復しているが、依然として低水準が続いている。WCPFCは24年までに約4万3千トンまで回復させる目標を掲げており、今回の会合では、漁獲枠を拡大しても目標通りに資源の回復が見込めるかどうかの議論が焦点となる。

 開幕時点では中国やフィリピンなど4カ国が会合に出席しておらず、合意に必要な8カ国に届いていない。このまま欠席が続けば増枠の方針が固まった場合も手続き上は暫定合意という位置付けになるが、米国代表団は「正式に採択できるようルールを変えても良いのではないか」と提起。必要に応じて議論する。(共同)

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