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【本気の仕事講座】(41)保育士人材養成を使命に

ニュースカテゴリ:企業の経営

【本気の仕事講座】(41)保育士人材養成を使命に

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人と人との思いの懸け橋になりたいと話す安積聰さん(右)  誰に対しても柔和な姿勢と笑顔がトレードマーク。筆者は数年前に環境系NPO法人設立に際して初めて出会った。バックヤードをすべて引き受ける姿勢に絶対的な信頼と責任感を垣間見た。

 今回の主人公はベスタネット代表取締役、一般社団法人実践保育力検定協会代表理事、あさか保育人材養成学校事務局長の安積(あさか)聰氏。新卒で広告会社に勤務、2000年に独立。専門学校、大学、高校(不登校の生徒を受け入れる通信高校)などの学生募集に特化した広告会社を設立。現在は自社独自のコンテンツ開発に注力している。

 中でも保育支援事業に賭ける思いは熱い。09年から保育園の採用支援に取り組んできた。首都圏での保育士不足、地方の保育士の雇用環境改善を目標に、東北地方で保育士を目指す大学生を対象に、首都圏保育園グループを招いた就職合同説明会を仙台で実施した。保育園数30園、200人の学生を集客。東北の学生には首都圏での就職機会を創出した。

 現在は地元の保育園の雇用環境が変わり、正規雇用が増えた。「現在は、マイナビが引き継いでくれています」と笑う。当時から首都圏では待機児童対策による保育園増設ラッシュ、公立保育園の民営化による保育士採用増などで恒常的な保育士不足の状態。一方で、各保育園は、大学、短大、専門学校からの採用を強化した結果、開園時から20代前半の若手中心の保育園が激増。その弊害として、保育士のスキル不足、管理職不足、保護者フォロー不足が顕在化した。

 特に保護者フォロー不足は、核家族ベースの現状では、深刻な状態だ。心ある保育園経営者は、「子育て経験」があり、「一般の会社での実務経験」、そして「子供の成長に俯瞰(ふかん)的な視点で臨むことができる大人」を積極的に採用したいと考えている。

 保育士採用市場は、基本的には新卒から育てるスタンス。世代人口を見れば40代前半の団塊ジュニア世代約200万人に対して、20代前後は、120万~130万人。子育てが一段落した40代女性が保育の現場で活躍しない限り、新卒の争奪戦のみでは、保育士不足も保育士の質の低下も解消しない。

 40代、50代でも、正職員として採用される保育士の価値を社会に伝えることを使命と考えている。前に進もうとする人々の「志を引き出し」「夢をつかむ」ための機会を提供し、「人と人との思いの懸け橋」になりたい。どんな仕事でも他人の喜びのために尽くせることに本気度を感じ、自らの等身大の力を信じ、認めることが本気の定義だと語る。

 人間を突き動かす最強のエンジンは生きがいを追求することだ。保育人材養成を通じ、子供たちを見守る視線は生きがいに満ちあふれている。

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【プロフィル】柴田明彦

 しばた・あきひこ 1959年、東京生まれ。亥年、乙女座、AB型。慶大法卒。83年電通入社、新聞局業務推進部長などを歴任し、2006年退社。一般社団法人「NS人財創造機構」を設立し、大学講義や講演会、研修を行う。14年に設立した「多様性工房」で、広報・宣伝や販売コンサルティングも手がける。著書は「ビジネスで活かす電通鬼十則」(朝日新書)ほか。

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