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【クルマの未来 セーフティードライブ】(上)「世界で最も安全」…自動運転視野に技術で競い合う各社

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【クルマの未来 セーフティードライブ】(上)「世界で最も安全」…自動運転視野に技術で競い合う各社

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 トヨタ自動車が6月26日に東京都内で開いた高級車ブランド「レクサス」の新車発表会。約11年ぶりの全面改良となる最上級セダン「LS」の特徴として掲げたのは、高級車ならではの高い走行性能でも、運転席の静粛性でもなかった。

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 「目指したのは世界で最も安全な車だ」

 伊勢清貴専務役員は記者会見でこう強調した。同社が「フラッグシップ」と位置付ける新型LSには歩行者やガードレールとの衝突回避機能に加え、カーブで速度が出すぎた際に自動で減速したり、高速道路での車線変更を支援したりする機能を搭載した。

 運転者が急な病気などで一定時間操作しない状態が続いた場合は自動停止し、インターネットを通じて救命要請も行う。トヨタはこうした最新の安全機能の一部を、来年から他の車種にも順次搭載する方針だ。

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 燃費や馬力、環境性能など消費者が車を選ぶ際のポイントは、年代や用途によってさまざまだ。しかし最新の安全機能だけは、全ての新型車に共通する“必須項目”となっている。

 マツダは今年3月、自動ブレーキや車線逸脱警報装置など最新の安全機能を、平成29年度中に国内の全車種(2人乗りオープンカー「ロードスター」を除く)に搭載することを決めた。藤原清志専務執行役員は「運転操作ミスをした場合にも事故を起こさせず、万一の事故時には被害を軽減させることが第一だ」と話す。

 軽自動車でも同様だ。ダイハツ工業は今年5月に全面改良した「ミラ イース」の大半のグレードに、対歩行者事故や誤発進の回避につながる自動ブレーキを標準装備した。ホンダも今秋、全面改良して発売する軽「N-BOX」以降、自動ブレーキなどの運転支援システムを全ての新型車に標準装備する。

 マツダが今月、全国の販売店を対象に実施した調査によると、来店客が同社の小型車「デミオ」に興味を持った理由として、「先進安全装備」と答えた割合は37%に上った。デミオは4月に最新の安全機能を搭載したばかり。1月調査時の同様の回答(7%)に比べ5倍に増えており「安全への関心の高さを数字が裏付けた」(同社)という。

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 ただ、現行の安全機能も万全ではない。SUBARU(スバル)独自の運転支援システム「アイサイト」は、自動ブレーキなどの機能を持つ。同システムを搭載した場合、車対車の追突事故の発生率を84%減らす効果があったという。半面、検知が難しい車対歩行者の事故発生率は49%減となお課題を残す。

 このため、スバルは昨年10月に発売した新型「インプレッサ」に、歩行者を保護するエアバッグを搭載した。衝突時に車外のフロントガラス付近でエアバッグが膨らみ、歩行者が頭部を強打するなどの被害が軽減できるという。

 各社が安全性能強化の先に見据えるのは自動運転だ。日産自動車は、既にミニバン「セレナ」とスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」に高速道路の同一車線で自動運転が可能な機能を搭載した。トヨタやホンダ、スバルは32年ごろに高速道路での車線変更が可能な自動運転技術を確立する計画だ。

 人口減少に伴う地方公共交通の縮小に加え、高齢化が進む日本では今後、自由な移動が困難な「移動制約者」が増える恐れがある。事故のリスクを限りなく減らす車の開発は、自動車メーカーが取り組むべき使命にほかならない。

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 高齢者の事故が社会問題化し、自動車各社は安全機能の強化を急ぐ。政府も安全運転支援車「セーフティー・サポートカー(サポカー)」の普及に乗り出した。実現に向けた官民の取り組みを検証する。

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