【神奈川発 輝く】大平技研 「星空を身近に」投影機で本物に近い夜空の重厚さを再現
更新大平技研のプラネタリウム投影機「MEGASTAR(メガスター)」は、映しだす星空の圧倒的な美しさや臨場感から、1998年の1号機登場以来、多くの星空ファンの話題を呼んできた。国内外の施設から受注し、現在ではシリーズ全体で世界13カ国、30カ所の施設が採用している。
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既存の投影機が再現する星の数が6000~3万個だったのに対し、メガスター1号機は150万個以上。当時の業界の常識を覆した。メガスターが星空の奥行きや質感を描きだせるのは、肉眼では識別できないかすかな星々も映すためだ。従来の機器は、星を配置していない部分は単なる「暗闇」だった。
しかし、実際の夜空には目に見えず、人が「何もない暗闇」と感じている部分にも無数の星が存在する。それらの星も実際と同じ明るさで投影することで、本物に近い夜空の重厚さを作りだしたのだ。
「暗闇」の中に答え
大平貴之社長が、実際の夜空とプラネタリウムの違いに気づいたのは高校時代。オーストラリアで見た星空の美しさに圧倒され、プラネタリウムとの違いを実感した。「プラネタリウムで本物の星空の美しさをなんとか再現できないものか」。そのために必要なものが、表現されていない「暗闇」にあることを既に直感していた。
星空に興味を抱き、幼少からプラネタリウムを自作するほど研究熱心だった大平社長。小学生時代から数えて10年以上にわたる試行錯誤の末、大学時代に、個人では不可能といわれていたレンズ式投影機の製作に成功。それが後年の起業のきっかけとなった。以後は投影する星の数を増やし、表現力を高めることで、より本物に近い星空を追求していった。