【株式ニューカマー】高品質な教育をeラーニングで安価に提供
更新学校や学習塾などの教育機関向けにeラーニングサービスを提供している「すららネット」は昨年12月18日、東証マザーズ市場に新規上場した。個々に応じた教材を活用して、低学力の児童・生徒を根絶させることを使命としている。湯野川孝彦社長は、「貧しい子供でも高品質な教育が安価に受けられるようにしたい」と世界を視野に事業に取り組んでいる。
◆アニメで集中力維持
--他のeラーニング教材との違いは
「理解と定着、活用の3つの機能によって、児童・生徒の成績を上げるための重要な要素を網羅していることだ。『理解』とは分からないことが分かるようになること。分かった後で徹底的に反復練習をしてできるようになることで『定着』させる。さらに多様な問題を解けるようになることで『活用』が身に付く。eラーニング教材に多くみられる有名講師による講義映像配信では理解は進むが、定着と活用については不十分だ」
--具体的にどのような教材なのか
「小学生から高校生までを対象に、国語、数学(算数)、英語の3教科をアニメーションで提供している。途中でキャラクターが問題を出題して、回答を入力すると正解では『やったね-』、間違えると『残念』と反応する。一方的にならず対話型なので飽きることがなく、集中力が維持される。受講生に応じて難易度をコントロールするアルゴリズムを活用した機能があるため、低学力の子供でも効果的に学習を進められる」
--これまでの導入実績は
「主に学習塾や私立学校を通して提供している。導入校数は学習塾・学校など約700校、ID数は約5万となっている。校数、IDともに毎年着実に伸びている。ここ5年ほど毎年1億円前後売上高を増加させ、2017年12月期は前期比22.5%増の7億1700万円で過去最高を見込んでいる」
◆学力格差の解消に
--どのように市場への浸透を図るのか
「学習塾市場については、独立開業志望者や地方の中堅大手への導入を働きかける。特に有望なのが放課後などのデイサービスで、学習強化が差別化になることから急速に広まりつつある。学校については教員を増員できない中で、学力格差をなくすためのツールとして、確実に成績を向上させる実績を示すことでシェアを獲得していく」
--中長期的な施策は
「これまでは学習塾・学校を通した提供をしてきたが、個人への販売も伸ばしていきたい。実は発達障害や学習障害、不登校の子を持つ保護者からの購入希望が多く寄せられている。一から体系的に理解できる唯一のサービスとして展開することで、潜在ニーズを掘り起こしていきたい。海外についてはアジアを中心とした発展途上国で、スピード感を持って事業を拡大していく方針だ」
◇
【プロフィル】湯野川孝彦
ゆのかわ・たかひこ 大阪大基礎工卒。日本エル・シー・エー(現エル・シー・エーホールディングス)入社。イデア・リンク社長、キャッチオン社長などを経て、2010年10月から現職。57歳。山口県出身。
◇
【会社概要】すららネット
▽本社=東京都千代田区内神田1-7-8
▽設立=2008年8月
▽資本金=1億3795万円
▽従業員=26人(17年10月末時点)
▽売上高=7億1700万円(17年12月期見込み)
▽事業内容=eラーニングなど