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“前向きな倒産”が増えている?! 「特別清算」は苦境の中小企業や地域の光となるか

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 全体的に企業倒産が沈静化をたどるなか、“前向きな倒産”ともいわれる「特別清算」の増加が際立っている。破産などに比べて裁判所へ納める費用が少額で済み、第二会社方式での事業承継など中小企業の整理手法に一石を投じるとして、今後の広がりが注目されている。(東京商工リサーチ特別レポート)

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◆「破産管財人」の支配下に置かれないメリット

 2018年上半期(1-6月)の企業倒産は4148件(前年同期比2.7%減)と9年連続で減少した。倒産が沈静化をたどるが、「特別清算」は166件(同8.4%増)と増加が際立った。

特別清算件数の年次推移

特別清算件数の年次推移

 東京商工リサーチ(TSR)は1952年に全国倒産集計を開始して以降、倒産を「私的倒産」と「法的倒産」に区分している。「私的倒産」は、銀行取引停止(振出手形の2回の不渡り)や債権者と債務者が協議して事業清算する内整理などがある。「法的倒産」は、会社更生や民事再生の再建型と、破産や特別清算の消滅型に分けられる。

 特別清算は、申請前に株主総会で解散を決議(特別決議)することが必要で、株主総会の前に株主の調整を行うことが多い。

 特別清算は、破産など他の法的手続に比べ予納金(債権者への最低限の弁済金を確保するため裁判所へ支払う費用)が少額ですみ、裁判所が選任する「破産管財人」の支配下に置かれない。このため、債権者への配当の自由度が比較的高く、債権者数が少ない企業や親会社が債権を持つ100%子会社などで利用されるケースが多い。

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  • 特別清算件数の年次推移
  • 2018年上半期に商号を変更した企業と登記上本店を変更した企業の割合

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