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ジャパンディスプレイの周辺が気を揉む「二つの不安」 産業革新機構の大騒動が飛び火

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 経営再建中の液晶パネル大手、ジャパンディスプレイへの問い合わせが増加している。業績の悪化に加え、筆頭株主の親会社である産業革新投資機構をめぐる騒動が飛び火。コミットメントラインの契約更改への悪影響も心配されている。(東京商工リサーチ特別レポート)

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◆売上高予想を下方修正

 ジャパンディスプレイ(以下JDI)の2019年3月期第2四半期(7-9月)の連結売上高は1110億円(前年同期比40.1%減)と大幅な減収だった。

 第2四半期中の売上計上を見込んでいた主力取引先向け製品の納入が第3四半期以降にずれ込んだのが減収要因だ。一方、利益面は2018年3月期に実施した構造改革が奏功し、赤字幅は縮小した。しかし、売上高総利益(粗利)率は6.6%と、まだ安定的な収益体質にはなっていない。

 また、2019年3月期(通期)の売上高予想は従来の前年度比10-20%増から5-15%増に下方修正している。

 東京商工リサーチにJDIに関する問い合わせが増えている背景は、JDIの業績がこれまでのアナウンスより悪化したこと以外にもう一つある。

◆JICは事実上の活動休止に

 筆頭株主であるINCJの親会社、産業革新投資機構(JIC)を巡る一連の騒動だ。今年9月、産業革新機構は会社分割の形態でINCJを設立し、JICへ商号を変更。経営不安企業の「救済機構」と揶揄された投資姿勢を改め、金融・投資のプロによる迅速かつ柔軟な投資判断でリスクマネーの供給を加速させる予定だった。

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