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日立、人材・技術の確保課題 英原発新設を凍結、事業統合も現実味

 日立製作所は、英国で進める原発建設計画の凍結を決めたことに伴い2019年3月期連結決算で約3000億円の損失を計上する。それでも社会・産業システムや情報・通信システム、建設機械など好調な各事業の貢献により、最終黒字は確保する見通しだ。ただ、原子力関連の人材・技術をどう維持していくかは重い課題として残り、今後、国内原発メーカーの統合案が現実味を増す可能性もある。

 日立は今年度まで3カ年の中期経営計画で、最終年度の最終利益4000億円超を掲げているが、目標を大きく割り込むことになる。事業コストの削減などが奏功して「調整後営業利益率8%超」の目標はほぼ達成するが、独シーメンスなど競合する海外大手に肩を並べる収益水準の実現からは一歩後退を余儀なくされる。

 一方、原発の新増設がなければ、日立をはじめ国内メーカーが原子力関連の人材や技術を維持・向上させることは難しい。

 日立は米ゼネラル・エレクトリック(GE)と共同で新型の「小型モジュール炉(SMR)」を開発中で三菱重工業も仏フラマトム(旧社名アレバ)と新型中型炉の開発に取り組んでいる。17日記者会見した日立の東原敏昭社長は、原子力事業に関し「ここ何年か国内に集中する」とし、当面はこうした次世代技術開発や国内原発の再稼働準備、廃炉作業に活路を求める。

 国内原発メーカーの事業統合案は、これまで「相乗効果を見込みにくい」と否定する声も強かったが、今後は生き残りに向けた検討課題となる可能性もある。

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