クルマ三昧

ジャーマン3不在、閑散のデトロイトショー 自動車産業は衰退するのか?

木下隆之

 まるでCESとの勝負から逃げるように、これまで伝統的に1月に開催してきたNAIASは、2020年から6月開催に移るという。冬から夏にずらしたからといってもなんの解決策にはならないが、空撃ちでも撃てる策は撃つということなのだ。

 「来年は、ゆっくりと正月が過ごせそうだ」

 正月の強行軍も今年限りなのかもしれないと、誰もが寂しく感じていた。

 明白なクルマの二極化

 もっとも、デトロイトの将来には光明が見出せないものの、自動車産業が衰退したと解釈するのは時期尚早だろう。いわば米国車のローテク展示会に成り下がってしまった感のあるNAIASのお株を、ハイテク見本市のCESが奪ったと感じるのは自然だが、クルマそのものの魅力が薄れたわけではまったくない。チューニングカー全盛のTASはクルマ好きの琴線に響いているではないか…。

 ここで明らかなのは、クルマの二極化だ。ステアリングを握らない自動運転車が増える一方、運転する喜びの象徴であるチューニングカーは衰えていない。没個性の薄いモデルが淘汰されかけているだけで、クルマそのものが色褪せているとは思えないのだ。

 ハイテクに支えられた自動運転系のEVが勢いを増す一方、僕らクルマ好きに寄り添う走れるモデルもまだ衰える気配が全くない。いや、CESの隆盛に比例するように、走りのモデルがイキイキとしている。それを感じて大いに安心した正月だった。

 【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちらから。

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【プロフィル】木下隆之(きのした・たかゆき)

木下隆之(きのした・たかゆき)レーシングドライバー 自動車評論家
ブランドアドバイザー ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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