金融

生保各社が外国社債など高リスク投資へ 金融庁は警鐘

 生保各社は近年、利回りが低い日本国債に見切りを付け、米国の利上げ基調で魅力が高まった米国債での運用を増やしてきた。しかしドルと円の金利差が大きくなることは、円高ドル安に振れた際の損失を回避するためにかかる費用が大きくなることと裏腹の関係にあり、米国債投資の妙味は薄れつつある。

 生保各社にはリスクヘッジせずに米国債で運用する手段もあるが、世界経済の先行き不透明感から円高に振れるリスクがくすぶる中ではとりにくい戦略でもある。こうした事情が外国社債や未上場株式といった比較的リスクが高い資産への投資につながっている。

 ただ、金融庁は生保のリスク志向に神経をとがらせている。2月に実施した生命保険協会との意見交換では、「一部生保ではより高い利回りを求めて海外クレジット(債務不履行)リスクを選好する動きが見られる」と指摘。リスクが顕在化した場合は保険会社の財務にも影響が出かねないと警鐘を鳴らした。

 ただ、超低金利により安定資産である日本国債に投資しても十分な利回りを得られない状況は当面続く見通し。安定した運用収益が事業継続に不可欠な生保への逆風はやむ気配がない。金融庁関係者は「生保のリスク管理体制は逐一モニタリングしていく」としている。(林修太郎)

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