金融

ゆうちょ銀、投信を不適切販売 高齢者に勧誘時に健康確認怠る

 ゆうちょ銀行が高齢者向けの投資信託販売について、勧誘時に健康確認を怠るなど、社内ルールに則さない不適切な手続きを行っていたことが14日、分かった。約230ある直営店のうち、約9割の店舗で発覚した。低金利で運用収益が落ち込む中、投信販売などの手数料ビジネスを強化する戦略が見直しを迫られる可能性がある。

 不適切な手続きは社内の定期的な調査で発覚した。ゆうちょ銀では日本証券業協会の高齢者向け勧誘・販売ガイドラインに準じ、勧誘の際に顧客の健康状態や金融商品への理解度を確認する社内ルールを定めているが、これを怠り、申し込み時にだけ確認していたことが判明したという。

 ゆうちょ銀は発覚後に日証協に報告済みだが、現時点では金融商品取引法で定める顧客の知識・経験などに照らし、不適当な勧誘を行ってはならないという「適合性原則」に違反するとの報告は受けていない。

 ゆうちょ銀では高齢者への健康状態などの確認を申し込み時に行っていることから「顧客への影響はないと認識している」(広報部)という。

 だが、顧客本位の業務運営を推進する観点から「社内ルールの徹底と順守に向け適切に対応していく」とコメントした。発覚後に社内周知を進めており、今後は内部管理体制の強化を図る方針だ。

 ゆうちょ銀の3月末時点の投信残高は約2兆3千億円と1年前より約4割増えた。低金利が続き、預貯金以外で資産運用を考える人は増えていることから、投信を貯金の代替と位置付け、低リスクで長期運用に向いた商品拡充や販売体制の整備を推進。令和10(2028)年3月末に投信残高を10兆円に引き上げる計画を打ち出している。

 だが、不適切事案が発覚し、金融商品販売をめぐるコーポレートガバナンス(企業統治)体制の再構築が必要となっており、戦略への影響が出るのは必至の情勢だ。

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