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はやぶさ2が目指した地下物質 生命の起源、地球の成り立ちに迫る

 はやぶさ2が小惑星の地下の物質採取を目指したのは、地表の物質と比べて太古の状態をとどめているため、生命の起源や地球の成り立ちなどの理解を深めるのに役立つからだ。

 小惑星の多くは太陽から遠いため低温で、46億年前の太陽系誕生初期の姿を保っている。太陽系のいわばタイムカプセルだ。ただ、太陽光や宇宙を飛び交う強い放射線、隕石(いんせき)などが降り注ぐため、地表の物質は風化している。

 これに対し地下の物質は、こうした影響を受けにくいため、太古の状態をより鮮度よく保っており、科学的に極めて貴重だ。

 回収できれば研究者が分析を進めるが、注目されるテーマの一つは生命の起源だ。生命の材料である水や有機物は、太古の地球に小惑星などが衝突して運び込まれたとの仮説が有力視されているからだ。

 リュウグウの岩石は水を含むことがはやぶさ2の観測データから既に分かっている。有機物も含むとみられ、これらを分析して地球のものと特徴が一致すれば仮説がさらに有力になる。地下の物質なら、より説得力のある結果が得られそうだ。

 地球などの惑星が、どのような材料から生まれたのかという謎も分かる可能性がある。原始の地球はマグマで覆われ、当時の物質はどろどろに溶けて変質してしまった。太陽系の天体は同じ材料から生まれたと考えられており、変質していない小惑星の地下物質を調べることで、地球の生い立ちに迫れるかもしれない。

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