経済インサイド

時価総額「100兆、200兆に」 大ボラ精神、“孫節”が炸裂

 人工知能(AI)分野への集中投資で、世界中の有力なスタートアップ企業をかき集める“群戦略”をとるソフトバンクグループ(SBG)。先月中旬、東京都内で開かれた株主総会で、孫正義会長兼社長は「大ボラを吹く」と豪語した。公の場で壮大な目標を発言することで、会社全体を奮い立たせてきたのが“孫流”。株主を前に、孫氏は今後の成長戦略をどう描いてみせたのか。

 6月19日、東京国際フォーラムで開かれた株主総会。直近の決算など、業績や事業の概要を一通り説明し終えたあと、孫氏は静かに語り始めた。

 「そもそもSBGとはなんぞやと振り返ってみたい。俯瞰(ふかん)するには歴史を振り返るのがいい」

 孫氏はかつて産業に革命をもたらした蒸気機関や自動車、電気、石油になぞらえ、現在の情報革命における中核技術への集中投資をアピールした。中でも人工知能(AI)分野の可能性について熱弁を奮った。

 「私はAI革命の指揮者になりたい。演者はそれぞれの専門家集団だ」

 ライドシェアや共同オフィスなどのシェアリングエコノミー、決済サービスなど、これまで10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先を列挙。「ユニコーンだけに集中投資するユニコーン・ハンター」と表現した。

 ビジョン・ファンドではすでに75社への投資を決めており、早期に2号ファンドを立ち上げ、ファンド担当者を1千人と現在から2.5倍に増やすことも明らかにした。

 さらに、孫氏の口は滑らかになり、「今の日本に欠けているのは、大ボラの精神です。日本語だとうさんくさいが、英語に直すとなかなかいいんです。Big Vision(ビッグ ビジョン)というのです」

 孫氏は平成16年に同じ会場で開いた総会を振り返った。「この部屋で大ボラを吹いた。『60代で利益を1兆、2兆と数える規模になりたい』。そのとき、4年連続で1千億の赤字を出していた。あれから15年経った今、3年連続で最終利益で1兆円を突破した」と有言実行の実績を強調した。

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