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アスクルの独立役員会、社長続投を支持 企業統治無視とヤフーを批判

 ヤフーが子会社の通信販売大手、アスクルの岩田彰一郎社長に退任を求めている問題で、アスクルの社外取締役などで構成する「独立役員会」は23日、ヤフーを「上場会社のガバナンス(企業統治)を無視している」と批判し、岩田氏の社長続投を支持する意向を表明した。

 独立役員会は、ヤフーとアスクルがともに上場企業にもかかわらず、議決権の約45%を保有する大株主のヤフーの一存でアスクルのガバナンスが左右される「親子上場」の問題点を指摘。ヤフーの要求は株主総会直前に岩田氏から辞任を申し出させようとしており、「現場は混乱し、企業価値にマイナスになる」とした。

 独立役員会は独立性の高い社外取締役や社外監査役などで構成され、一般株主の利益を保護する目的で経営を監督する組織。今年2月にインターネット通販「ロハコ」事業のヤフーへの譲渡に反対する意見を出しており、今月10日には「両社の資本業務提携の継続に重大な懸念を抱く」とする意見書を提出している。アスクルは独立役員会の意見に沿って、ヤフーに対し資本業務提携の解消協議を申し入れている。

 ただ、アスクルは買収時にヤフーから約330億円の資本を受け入れた。ロハコ事業も宣伝・広告などでヤフーに大きく依存しており、ヤフーに対する具体的な対抗策は打ち出していないのが現状だ。

 ヤフーは8月2日開催予定のアスクルの定時株主総会で、岩田氏の取締役再任議案について反対票を投じる予定。ロハコ事業の譲渡は求めず、資本業務提携の解消に向けた協議には応じない。

 アスクルは23日、ヤフーが資本業務提携に違反するとの見解を示した早稲田大の上村達男名誉教授の意見書を取得したと発表した。意見書には、ヤフーから派遣されている取締役の言動が「アスクルを害する悪意に基づく」として、アスクルに生じた損害の賠償責任を負うとの認識を示している。アスクルは専門家の意見で自らの主張を補強する狙いがあるが、現段階では、損害賠償を求める考えはないという。

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