東京2020~五輪が開いた扉(中)

AI、5G…先端技術の「ショーケース」

 1964年の東京五輪の開会式を振り返る映像は鮮やかなカラーとなっている。五輪史上初めてカラー放送が行われ、一般家庭へカラーテレビが普及する契機にもなった。

 五輪は先端技術の「ショーケース」であり、そのPR効果は絶大だ。五輪のレガシー(遺産)となった日本の技術は数多い。前回の東京五輪をみても、NECが世界初の衛星中継を実現したほか、日本IBMがオンラインシステムでリアルタイム記録速報を可能にした。東京-新大阪間で開通した東海道新幹線は高速鉄道の先がけだ。

 今回の2020年東京五輪・パラリンピックでは、人工知能(AI)や第5世代(5G)移動通信システム、ビッグデータといった最新のデジタル技術が競技の観戦や採点、関係者の安全確保まであらゆる場面で使われ、日本の存在感向上に貢献することになる。

  

 バドミントン男子決勝、勝負をかけた桃田賢斗の時速400キロを超えるスマッシュがコートに突き刺さる。観客はわずか数メートルの距離で金メダル獲得の瞬間を目の当たりにする-。

 実は、この観戦会場はコートから遠く離れた場所にある。目の前でプレーしているかのようにみえる選手の姿は全て立体のホログラム映像だ。映画「スターウォーズ」の世界を思い起こさせる観戦方法が今回の東京五輪で実現するかもしれない。

 NTTの映像通信技術「Kirari!」。現実空間に3次元(3D)の映像や文字情報を重ねて表示する「拡張現実(AR)」技術を応用したもので、AIが2D映像を3Dに瞬時に変換し、特殊なスクリーンに立体映像を映し出す。

 数万人が集まるスタジアムでは5Gも本領を発揮する。客席から俯瞰(ふかん)しながら手元のスマートフォンにはお気に入りの選手だけを映し続けるといった1人1人異なる観戦が可能になる。

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