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神戸市、ヘルステック起業支援 米VCと共同プログラム 月内参加募集

 神戸市は、医療や介護現場、健康増進などの課題解決を目指す「ヘルステック」分野で活躍する創業初期のベンチャー企業(スタートアップ)や起業家を対象にした事業支援プログラムを始める。ベンチャーの持つ高度な技術やサービスの具現化を後押しするとともに、国内外の優れたベンチャー企業を神戸に集める仕掛け作りを進め、新たな産業とイノベーションを起こして、地域経済の活性化につなげる。

 「500スタートアップス・コウベ・アクセラレーター・ウィズ・ア・フォーカス・オン・ヘルス」と題したこの起業支援プログラムは米ベンチャーキャピタル(VC)大手の500スタートアップス(カリフォルニア州)と共同で行う。神戸市と米500スタートアップスは2016年から過去3回、共同で起業支援プログラムを展開。主にIT分野を中心に56社のベンチャー企業を育成してきた。

 今回の起業支援プログラムへの参加は31日まで専用のホームページで募る。神戸市以外の国内や海外からの応募もできる。書類選考、面接審査で20チーム程度に絞り込む。

 選ばれた起業家は、米500スタートアップスでベンチャー企業の育成経験がある専門家との二人三脚で起業家のビジネスプランを実現可能な形に磨き上げ、12月16日に予定されている神戸市内での成果発表会に臨む。海外からの参加者には、20年に完成予定の起業支援施設「クリエイティブラボ神戸」の入居費用の一部補助も検討する。成果発表会には個人投資家やVCの投資担当者が訪れ、参加企業の資金調達額は80億円を超えるなど、一定の成果を上げている。

 神戸市は20年ほど前から「神戸医療産業都市」構想を掲げて、国内外の企業や大学の研究機関をポートアイランド地区(中央区)に誘致。独製薬大手バイエルが18年6月、ベンチャー企業との協業拠点「コラボレーターコウベ」を開設している。遠隔医療に関する技術を開発するT-ICU(兵庫県芦屋市)、医療機器開発のトータルブレインケア(神戸市中央区)など、神戸周辺には多彩なヘルステックベンチャーの集積が始まっている。

 これまでのベンチャー支援といえば、設備投資が比較的少なく、短期間で大きな成長が見込めるIT分野が多かった。開発などで先行投資がかさむヘルステックやモノづくり系のベンチャー企業は成長に時間がかかるため、企業やVCが支援をためらうケースが少なくなかった。

 神戸市新産業部新産業課の担当者は「国内外の多くのヘルステックベンチャーが神戸に集まり、地元の企業との交流の機会を増やすことで、新たな技術やサービスをこの街から生み出したい」と話している。

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