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東京電力福島第1原発、排気筒解体の試行錯誤が続く

 東京電力福島第1原発1、2号機の共用排気筒(高さ約120メートル)の解体工事で不具合が相次いでいる。5月の予定だった工事開始はクレーンの高さ不足が発覚して2カ月以上遅れ、8月に切断に着手すると、装置の刃が想定より早く摩耗して作業中断を迫られた。19日以降に作業を再開する予定だが、工法変更など試行錯誤が続く。

 解体作業は、クレーンでつり下げた切断装置を排気筒の上端から差し込んで遠隔操作し、内側から輪切りにして下へ約3メートルずつ切り進めていく計画。クレーンのトラブルを経てようやく8月1日、排気筒上部の外側にあるはしごを撤去し、本体工事にかかれたのは7日だった。

 しかし半分ほど切れ目を入れた段階で、4枚ある円盤状の刃のうち2枚が摩耗して切断不能に。装置を地上に下ろして刃を交換したものの、今度は1枚が動かなくなった。

 刃を回転させるモーターに負担がかかりすぎたことなどが原因で、排気筒の材質が建設時の溶接作業で一部硬くなっていたという。

 東電は今後、硬い部分については押し切りする工法に変え、摩耗やモーターへの負荷を防ぐ考えだ。工程に大きな影響はないとしており、本年度内の作業完了を目指す。

 排気筒は2011年3月の原発事故時、1号機の原子炉格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を含む蒸気を放出する「ベント」に使われた。支柱に破断が見つかって倒壊のリスクがあり、上半分を撤去する計画。

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