直球緩球

泉原雅人宇部興産社長「中国経済は減速。追い風期待しづらい」

 --世界経済の先行きが不透明感を増している

 「中国経済の減速はわれわれも感じており、4月以降は特に顕著だ。中国が減速すると、世界経済にも化学産業にも大きな影響を及ぼす。ナイロン原料のカプロラクタムや、食品包装材や自動車に使うナイロン樹脂は、顧客の様子見姿勢が強まっている。下期の回復を期待する声もあるが、疑問だ。さらに業界では、米国の安価なシェールガス由来製品が増え、中国や中東で大型設備が立ち上がる。過去3~4年の追い風は期待しづらい」

 --4月に3カ年の新中期経営計画が始動した

 「前の中計ほど恵まれた風は吹かないとの前提で立てた。着実な利益の増加を目指すのが主眼だ。一方で中長期的な成長を強く意識し、次の3年でさらに成長できるよう布石を打つ。連結営業利益550億円とともに、同経常利益580億円の目標を掲げたのは、持分法投資損益、つまり外部連携を意識してのことだ。全体として強化されるなら、他の企業とも積極的に組む」 

 --基本戦略は

 「付加価値が高い製品の比率を高め、顧客の課題解決につながるビジネスを追求する当社は化学品とセメントなどの建設資材、射出成形機などの機械が3本柱だ。化学には成長の可能性があり、建設資材は大きな伸びは見込めないものの、環境関連などの成長分野はある。機械は買収した三菱重工業の射出成形機事業を(本体と)一体運営すればかなり強化できる」

 --検査不正の発覚から1年半近くがたった

 「顧客と取り決めた通りに検査していなかった。品質を軽視していたわけではないが、昔ながらのやり方が見直されていなかった。品質を経営の中心に据え、われわれ(経営陣)が自ら研修を受け、さまざまな場で品質重視のメッセージを発していく。検査態勢も増強した。やれることは徹底的にやっていく」

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