金融

銀行が農業参入 新たなビジネスチャンス 融資と地域振興の一石二鳥

 全国各地の銀行が農業への関心を強め、さまざまな取り組みを始めている。後継者不足などの課題を抱える農業だが、銀行が持つ取引先のネットワークや資金力といった強みを生かせば、もうかる仕組みの確立は十分に可能と判断。新たなビジネスチャンスを見いだし、超低金利で国内の収益が悪化する逆境をはね返そうという試みだ。地域振興と融資拡大の一石二鳥を狙い、各行が知恵を絞る。

 行員派遣しIT活用

 三井住友銀行は2016年、秋田銀行やリース会社のNECキャピタルソリューションなどと共同で農業法人「みらい共創ファーム秋田」(秋田県大潟村)を設立した。現地に行員1人を派遣し、最先端の農機やIT技術を活用してブランド米「あきたこまち」やタマネギの生産を手掛ける。

 農業向けの融資は日本政策金融公庫や農協系が大部分を占めるが、三井住友銀行は農業の大規模化が進めば、設備投資や輸出といった新たな資金ニーズが生まれると期待する。相続や事業承継、農機のリースなどのサービスを提供する機会も増える。同行で新規事業を担当する成長産業クラスターの泉山真輝グループ長は「農業向けビジネスには銀行の参入余地がある」と話す。

 取引先から販路拡大

 日本の農業を担っているのは多くが高齢者だ。後継者は少なく、荒れ果てた耕作放棄地が増えている。そこで、地方銀行は地元の基幹産業である農業を守ろうと、生産者が離農した後の耕地の受け皿になり、事業拡大で新たな雇用を生み出そうとしている。

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