北海道地震から1年

災害に強いキャッシュレス模索 「1年前と状況変わらず」の指摘も

 昨年9月の北海道胆振(いぶり)東部地震では大規模な停電で電子マネーなどが使用不能となり、現金を使わないキャッシュレス決済のリスクが顕在化した。地震発生から1年が経過し、災害に強いキャッシュレス決済のあり方についての議論が始まり、停電でも使える決済手段も出てきた。ただ、議論のとりまとめや普及にはまだ時間がかかりそうだ。

 北海道地震では停電で電子マネーやクレジットカードなどの読み取り端末が使えなくなった。小売店での取引は現金に限られ、稼働するATM(現金自動預払機)も少なく、買い物ができない人が多数出た。

 こうした教訓から、銀行などが参加する産学官の連携組織「キャッシュレス推進協議会」は、災害下でのキャッシュレス決済における特別措置や代替手段について検討している。

 一方、停電や通信障害があっても使える手段も出てきた。三井住友カードが中小企業を対象に無償提供しているクレジットカード読取機「スクエアリーダー」は決済情報を留め置き、通信環境が復旧した後に本決済に移行する仕組みだ。

 ただ、キャッシュレス推進協議会での検討は現在、リスクの洗い出しを行っている段階で、対応策のとりまとめには年度末までかかる。また非常時でも使えるキャッシュレス決済に対応した端末が使用できる店舗はまだ少ないのが現状だ。

 ニッセイ基礎研究所の福本勇樹主任研究員は店舗側の非常用電源の確保など、今後進めるべき対策を指摘し、「1年前と状況は変わっていない。災害に備えて一定の現金を持っておくことが必要だ」と話している。

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