金融

SBIホールディングスが地銀へ出資 勝算を「地銀はもうダメ」論から考える

 地方銀行はもうダメだ--。 半ばあきらめに近いこの種のフレーズは、今やビジネスパーソンの間でなかば常識だといっても過言ではない。一方で、島根銀行と資本業務提携を実施したSBIグループのように、地銀との連携に関してビジネスチャンスを見出すプレーヤーが存在するのもまた事実だ。

 まことしやかにささやかれている「地銀はもうダメ」論だが、どこがそれほどダメなのかを確認し、それでも地銀との提携を推進するSBIグループの狙いは何かを探っていきたい。

 そもそも何がダメなのか?

 そもそも、地銀がもうダメだと認識され始めた背景としては、2015年7月に金融庁が公表した「金融モニタリングレポート」における経常利益見通しの存在が大きい。

 当時の試算では、全国に存在する8割以上の地銀の経常利益について、2018年度には当時よりも大幅に減少する可能性があることを指摘していた。この試算は、地銀の再編やビジネスモデル転換の必要性を含めた議論のきっかけにもなった。

 それでは、金融庁の試算は現実となったのか。全国地方銀行協会が今年6月にとりまとめた地銀の18年度決算では、全国63行のうち約7割に相当する45行の経常利益が減少していたことが明らかになった。試算から3年あったにもかかわらず、その結果を回避できない地銀が多数となったのはなぜだろうか。

 その大きな要因は14年10月31日に導入されたマイナス金利の長期化だ。国債を中心に預金を運用する地銀にとって、マイナス金利は運用商品の利回り低下をもたらし、収益を圧迫する存在となった。

 これまでの銀行は、預金者が受け取る利息と、日本国債を中心とした安全資産の利回りの利ザヤをとることで収益を上げてきた。しかし、足元の10年国債の利回りは-0.139%とマイナス圏まで落ち込んでいる。

 低金利政策の長期化により、地銀における国債の保有残高は、マイナス金利導入当時と比較しておよそ半分となった。全国銀行協会の調査によれば、国債の保有高は前年比で18%減となっているが、それでも18兆9002億円が国債で運用されている。これは、地銀が保有する有価証券のうち、3割に近い水準だ。他の債券も含めると、有価証券に占める債券の割合は66.8%にものぼる。これは、都市銀行の53.7%と比較しても高い水準だ。

 低金利政策の長期化と、債券偏重の運用もあって、全国地方銀行協会が6月に公表した20年3月期の業績予想では、地銀の約7割が最終減益となる見通しを提示した。

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