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オンライン認証、21年中に100社導入を目指すITベンチャー

 リキッド・保科秀之最高営業責任者に聞く

 生体認証技術などを開発するITベンチャー、Liquid(リキッド)は、オンラインで本人確認を完結できる「LIQUID eKYC」事業に注力し、2021年中に導入企業100社を目指すとともに、同事業で黒字化を図る。ストレスなく簡単に撮影できることが評価され、利用者が予想以上に多いため。また世界進出も視野に入れる。保科秀之最高営業責任者(CSO)は「高精度の画像処理技術など難しい技術にチャレンジしてきたのでライバルと差別化できる。日本で実績を上げて世界を目指す」と話した。

 --eKYCとは

 「electronic Know Your Customerの略で、銀行口座開設などで必要な本人確認手続きを電子的に行う仕組み。18年11月付で施行された犯罪収益移転防止法施行規則に基づき、オンラインで本人確認を完結する。これに対応したLIQUID eKYCはスマートフォンのカメラで本人の顔と運転免許証を撮影して送るだけですむ」

 「画像処理技術で本人の顔データと免許証の顔写真を照合して顔データの真贋(しんがん)を判定、疑わしければはじく。本人だと確認できれば、銀行などは口座を開設する。本人確認書類は運転免許証だけだが、来春からは在留カードと個人番号カード(マイナンバーカード)も扱う」

 --特徴は

 「NECや大日本印刷なども参入しているが、スマホにダウンロードして使うネーティブアプリ型。口座開設が認められるかどうか分からないのに、わざわざアプリをインストールすることに抵抗を覚える利用者は少なくない。一方、われわれはダウンロードせずにブラウザーとインターネットを利用するウェブアプリなので相性がいい」

 「利用者が迷わない操作性も備えており、撮影開始から完了までの途中でやめてしまう離脱率は5%未満と低い。画像のクオリティーチェック、真贋判定は撮影時に人工知能(AI)で自動化、不適切な画像は再撮影を求めており、時間短縮につながると評価されている」

 --導入企業のメリットは

 「それまでは本人確認できる書類の写しを郵送し、銀行などの導入企業が本人確認した上で申請者の住所に転送不要郵便か本人限定受取郵便で書類を送っていた。それがオンラインで本人確認できるので今まで1週間ぐらいかかっていた口座開設時間が最短10分程度と大幅に短縮でき、それだけ口座利用開始も早まる。本人確認のための郵送費も不要だ」

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