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新型コロナで大阪府知事「店名公表なら補償」 公平性の確保にハードル

 さらに求められるのは、公平性の確保だ。利用客らの感染は確認されていないが営業を自粛しているライブハウスなどもあり、関係者からは「一刻も早く資金がほしい」との声も。府の担当者は「どう対応すべきか」と頭を抱える。

 吉村知事は「公平性の問題は常にある。やるなら一律にやるべきだ」とし、第2弾の新年度補正予算案に関連費用を計上する考えを示すが、府の財政力には限界があり、難しい判断を迫られそうだ。

 大阪市内のライブハウスで発生したクラスター(感染集団)は、店名の公表で検査呼びかけが進み、客や濃厚接触者らの感染確認が可能となった。だが、店の関係者らへの経済的な影響は深刻だ。

 クラスターが発生し、休業となっている同市北区のライブハウス「Soap opera classics-Umeda-(ソープ オペラ クラシックス ウメダ)」は営業再開に向け、換気設備のメンテナンスなど、安心して利用してもらえる環境整備費などを募るクラウドファンディングを開始した。同店にも出演していた東京都の舞台女優(41)は、「まず、影響の出たところに何割かでも休業補償をすべきだ」と主張する。

 自身も、一連の興行自粛や延期で4月に予定していた公演がすべてキャンセルになった。「感染者の出た店だけでなく出演者、スタッフ、そして感染者は出ていないが営業自粛している店にも、大きな打撃が出ている」と話した。

 同市北区のライブハウス「バンケットハウス」では、利用客らの感染は確認されていないが、9日までの営業自粛を決めている。店長の河合知記さん(33)は、店名公表に同意したライブハウスの判断について、「他の店のためを思って判断したのだろう。ただ、営業できなければ収入はゼロになる一方、賃料などの固定費はかかり、赤字が積み重なる。少しでも補償があればありがたい」と話した。

 北区・曽根崎でライブハウス「ロックバー セブンス」を営業する山本章史さん(46)は「店で感染者が出たとき、公表しないと被害が拡大するなら出すのが正義だと思うし、隠しているのに来ていただくのは申し訳ない」とし、「休業に対する補償があればありがたいが、一番は『この店に来ても大丈夫』という安心感を与えてもらうことだ」と話した。

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