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「マスクがない」ごみ清掃芸人が痛感するコロナ禍の副作用

 新型コロナウイルスの流行を受け、家にこもる人が増えている。それでも人々の生活を成り立たせるためには、止められない仕事がある。そのひとつが「ごみ収集」だ。ごみ清掃員とお笑い芸人の二足のわらじを履くマシンガンズの滝沢秀一さんが、いま収集現場で起きている変化をリポートする――。

 ごみを回収しないわけにはいかない

 新型コロナウイルスが流行しても、僕らごみ清掃員は働き方を変えることはできない。

 多くの企業が感染拡大を防ぐために在宅勤務などに切り替えているが、ごみ清掃員にはそのような働き方は不可能だ。

 公の仕事は、現場に身を置いて初めて仕事になる。警察官や消防士は、人手が薄くなればそのまま世の中が乱れることを意味するだろう。したがってコロナウイルスがはやる前と同じ状態を保っておかなければならない。

 ごみ清掃員とて、同じことだ。コロナウイルスがはやっているからといって、ごみを回収しないわけにはいかない。

 仮に2週間、ごみ清掃がストップすればどうなるか。街はごみであふれ、衛生面でも防犯面でもたいへんな混乱が起きるはずだ。

 マスクが会社から配布されなくなった

 コロナウイルスがごみ清掃員に与える最大の影響は「マスク不足」だ。一緒に働く収集車の運転手が嘆いていた。

 「俺たちは朝一の仕事だから、朝からマスク買いに薬屋さんに並ぶわけにもいかねぇもんな。夕方に仕事終わってから行ったって、手に入ることなんてねぇんだよな」

 ごみ清掃の仕事にとってマスクは必需品だ。ほこりを避けるだけでなく、老人ホームから出るおむつのごみには感染症の不安があるし、繁華街のごみにはどんな物が入っているかわからないので、できるだけマスクを着用する。

 ましてや、連日報道され続けているコロナウイルスの脅威を知りながら、不特定多数のごみを回収する業務となればなおさらだ。回収中、破けるごみ袋は少なくない。飛び出したごみから使用済みのマスクがむき出しになっていれば、よからぬ菌が付着していないだろうかと不安になる。

 嘆いていた運転手の家のマスクはもうすぐ底をつくという。以前は希望者には会社からマスクを渡していたが、この騒ぎでマスクの入手が困難になり、配布できないようになった。

 ごみ清掃会社は点呼を受ける際、熱を測ることを義務付け、対処している。現時点ではコロナウイルスにかかった清掃員はまだいない。

 ごみ清掃員が危惧する食品ロスの悪化

 3月25日、オーバーシュートを防ぐために東京都が週末の外出自粛を要請する発表をおこなった。その翌日にはスーパーでの食料品の買い占めが起きた。勤め人の多くが仕事終わりに食料を買いに行って、ほとんどが売り切れ状態で驚いていたと聞く。ごみ清掃員の仲間たちも、夕食の買い出しに行った頃には、スーパーの棚には何もない状態であった。

 この状況で、われわれごみ清掃員がこれから起きるのではないかと恐れていることがある。食品ロスだ。

 買い占めたはいいが食べきれなかったといって、まだまだ食べられるものがごみとして捨てられるのではないか。コロナ以前からの話ではあるが、食べられるものを平然と捨てる人たちが世の中には大勢いる。

 蓄えたものの、騒ぎがおさまれば家にあるのが邪魔に思えてきて、手つかずの状態で数多くの食べ物が捨てられる可能性は低くない。手のつけられていないボンレスハム、お中元で送られてきたであろうメロン、新米が出たあとの古米、大量の未開封のレトルトカレーなどをごみとして回収してきた筆者にとっては、考え過ぎだとは思えない。

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