ソフトバンクＧ最終赤字 前期９６１５億円 今期配当ゼロの可能性
ソフトバンクグループ（ＳＢＧ）は１８日、２０２０年３月期の連結最終損益が９６１５億円の赤字（前期は１兆４１１１億円の黒字）になったと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に景気が悪化し、成長の軸としていたファンド事業で投資先の企業価値が大幅に目減りして、巨額損失を計上したことが響いた。
ＳＢＧが最終赤字になるのは１５年ぶりで、過去最大の赤字幅となった。本業のもうけを示す営業損益は１兆３６４６億円の赤字（同２兆７３６億円の黒字）だった。
同日会見した孫正義会長兼社長は２１年３月期について「上場以来初めて配当方針を未定とした。ゼロ配当もあり得る」とコロナ危機による先行き不透明感の強さを指摘した。
約１０兆円を運用する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド（ＳＶＦ）」で２０年３月期に計上した損失は約１兆９０００億円にのぼる。投資先の米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズなど上場企業の株価が大きく下落したほか、非上場企業の価値も目減りした。
ＳＶＦでは１７年の設立以来、８兆８０００億円を投資しているが、孫氏は累計の投資損益が１０００億円のマイナスに転じたことも明かした。２号ファンドには外部資金が集まっていないため、「自己資金で慎重に選びながら投資を継続する」とした。また、３月に示した方針に沿って、４兆５０００億円の資産売却で現金を確保し、自社株買いと財務改善に充てる方針も強調した。
ＳＶＦの投資先への新型コロナの影響については「８８社のうち、１５社くらいは大きく成長するが、１５社くらいは倒産するのではないかとみている」との見解を示した。
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【用語解説】ソフトバンクグループ
国内通信大手ソフトバンクやファンド事業などを束ねる持ち株会社。孫正義会長兼社長の主導で投資事業に軸足を移した。１０兆円規模の資金を持つソフトバンク・ビジョン・ファンドを運用し、人工知能（ＡＩ）やロボットといった先端技術を手掛ける海外の新興企業に巨額を投じている。昨年３月末時点の連結従業員は約７万７０００人。