eco最前線を聞く

被災建物予測サイト、迅速救助に一役

 あいおいニッセイ同和損害保険理事損害サービス業務部長・佐藤満氏に聞く

 あいおいニッセイ同和損害保険は、横浜国立大、エーオンベンフィールドジャパンと共同で、自然災害発生時における被災建物予測棟数を市区町村ごとにリアルタイムで予測し、地図上に表示するウェブサイト「cmap.dev(シーマップ)」を開設した。被災規模の早期把握や迅速な救助・支援活動に貢献する。公開してから約1年経過し、地方自治体や社会インフラ企業、メーカー、商社などがBCP(事業継続計画)策定などに活用している。このプロジェクトの責任者を務めたあいおいニッセイ同和の佐藤満理事損害サービス業務部長に課題や今後の展開などを聞いた。

 18年の台風がきっかけ

 --サイト開設のきっかけは

 「2018年に台風21、24号というまれにみる大きな台風に襲われ、21号では約13万件、24号では約7万件が保険金支払い対象となった。10年に一度といわれる大型台風でも5万件ほどなので想像を絶する数字だった。大規模な災害が立て続けに発生し、社内の災害対応体制構築に苦慮した経験から、災害発生と同時に建物被害の規模がどれくらいになるかを早期に予測する仕組みをつくれないか検討することになった」

 --仕組みを作る狙いは

 「保険契約者からの事故受け付けや保険金支払い業務を円滑に進めるための人員確保などに早くから取り組み、平時と同等の対応ができると考えた。そこで当社は被災地域・程度をどこよりも早く把握する方法を確立するため、過去の支払保険金のデータ分析を実施した」

 --他の2者の役割は

 「横浜国大は高度な計算科学技術により、過去に甚大な被害をもたらした台風だけでなく、実際には起きていない台風のシミュレーションを実現。エーオンは航空写真の解析により全国の建物データベースを構築し、最大瞬間風速と建物被害の相関に着目した台風の被害予測システムを開発した。3者の英知を結集し、台風・豪雨では気象データを観測してから、約1時間後に予測結果を表示し毎時00分に最新情報を更新することができる」

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