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農協の6割が農業事業で赤字 転換迫られる金融依存の経営

 全国の農協の約6割が2018年度決算で、農産物や生産資材の販売を含む本業の農業関連事業が赤字となったことが、農林水産省の調査で分かった。赤字は全体で506億円に上り、17年度の403億円から100億円余り増えた。本業の農業事業の赤字を金融関連事業の黒字で補う状態が長年続いてきたが、超低金利で収益環境が厳しい中、金融依存の経営は転換を迫られている。

 農水省によると、18年度は全国639農協の62.9%に当たる402農協が赤字だった。農家に無料で実施している営農指導事業を含めると赤字額は1636億円。黒字は237農協で、農産物のブランド化や取扱量の多さが要因として挙げられる。

 貯金やローンなどを扱う信用事業と、民間の保険に当たる共済事業を合わせた金融部門では計3868億円の利益が生まれ、農協の事業全体では1862億円の黒字となった。ただ超低金利のため、これまで通りの利益確保は困難で、農水省は金融事業の収益による補填(ほてん)がなくても農協経営が成り立つよう、経費削減や事業運営の効率化などの改善を求めている。

 また、11.1%に当たる71の農協が、最終的な損益で赤字となった。19年度決算分から公認会計士による監査が始まるのを前に、合併した農協が出荷施設などの減損処理を進めたためで、18年度決算では全体で597億円の減損損失があった。農水省の担当者は「うみを出し切るための一時的な計上で、19年度からは例年と同様の水準に戻るとみている」と分析している。

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