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コロナ禍で岐路に立つゲームセンター セガは撤退、歌舞伎町の有名店も閉店

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 都会の喧噪の中で35年間営業を続けてきた老舗の有名ゲームセンターが今月29日、惜しまれつつ閉店する。業界大手のセガサミーHDも年内でゲームセンターの運営事業から撤退を決めるなど、全国でもゲームセンターの閉店が相次いでいる。家庭用ゲーム機やスマホゲームの普及でゲーセン業界は“冬の時代”を迎えて久しい。興行収入で世界を席捲した「鬼滅の刃」のグッズを景品としたクレーンゲームが人気を博すなど復調の兆しもあるが、業界は今、岐路に立たされている。

 消える“ゲーマーの聖地”

 「暇つぶしする場所がまた一つなくなるなと。空き時間によく遊んでいたので、なくなってしまうのは寂しいです。前からお客さんは減ってたけど、閉店するほどだったなんて」

 旧コマ劇場跡地の広場に面する歌舞伎町最大の機種数を誇るゲームセンター「新宿プレイランドカーニバル」。東京都杉並区の女性会社員(23)は電子音の響く店内を見渡しながら、しみじみと語った。1985年に開店し、欲望と暴力が渦巻く街で群像アクションが展開する人気ゲーム「龍が如く」にも登場する名所だったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で客足が大きく落ち込み、今月29日で35年の歴史に終止符を打つことになった。

 「閉店 永らくのご愛顧ありがとうございました」

 店内ではいたるところに閉店を告げる紙が貼られ、「景品獲得率大幅アップ」「在庫一掃大放出」とうたっていた。メダルゲーム機やプリクラ、アーケードゲームなど約400台が所せましと並ぶ巨大ゲームセンターは“ゲーマーの聖地”とも呼ばれた。ゲーム好きの若者だけでなく、仕事帰りのサラリーマンがふらっと立ち寄ることも少なくなく、店内はどこか哀愁が漂う。繁華街の喧噪の中にあって、道行く人々の「寄る辺」にもなっていた。

 新宿プレイランドカーニバルを運営するジョイパックレジャーの広報担当者は「コロナの影響が全て」と閉店を判断した理由を語る。同社によると、コロナ禍が始まった今年2月以降に売り上げは激減。「9、10月はやや復調したが、とはいえ、という状況だった」という。同社は、関東一円でパチンコ店や温浴施設も運営しているが、感染する恐れが高い「夜の街」として歌舞伎町が名指しされたことで、歌舞伎町の中心に位置する新宿プレイランドカーニバルの売り上げは突出して落ち込みが激しかったという。

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