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スエズ運河で座礁のコンテナ船が出航へ 3カ月以上に及ぶ処理終結

 【カイロ=佐藤貴生】エジプトのスエズ運河で3月下旬、「正栄汽船」(愛媛県今治市)所有の大型コンテナ船が座礁した事故で、所有者側とエジプトのスエズ運河庁が賠償条件などで正式合意に達し、7日に文書への署名が行われる。現場近くに留め置かれていた船も同日に出航する見通しで、3カ月以上に及んだ事故をめぐる処理は終結に向かう。

 ロイター通信が伝えた。座礁したのは台湾の「長栄海運」が運航していた「エバーギブン」で、事故は中国からオランダ・ロッテルダムに向け、スエズ運河を北上中の3月23日に起きた。重機やタグボートを投入して離礁作業が進められ、6日後に船体の移動に成功したが、エジプトの裁判所が船の出航を禁じていた。正栄汽船の担当弁護士は今月6日、裁判所の命令は解除されたと述べた。

 運河庁は当初、遺失利益などの名目で賠償金約9億2千万ドル(約1020億円)を要求。その後、5億5千万ドルまで減額され協議が続いていた。交渉していた所有者・保険会社側の代表者は6月下旬、運河庁と基本合意に達したと述べていた。

 エバーギブンは全長400メートル、幅約60メートルと世界最大規模の大型船で、事故当時は約1万8千個のコンテナを積載。運河を航行する他の船舶に大きな影響が出た。正栄汽船は事故後、「荒天に遭遇して座礁した」とし、航行に被害をもたらしたことを謝罪した。

 アジアと欧州を最短距離で結ぶスエズ運河は1869年に開通した。液化天然ガス(LNG)などエネルギーのほか、自動車などの工業部品を運ぶ船が年間2万隻近く利用する国際海運の大動脈。

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