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コロナ禍のミスマッチを防げ 面接本番前に素顔で「カジュアル面談」

 新型コロナウイルス禍で増えるオンライン面接は利便性の一方、対面より情報が少なく、思いが伝わりにくいなどの課題も指摘されている。そこで企業と就活生のミスマッチの不安払拭のため、選考に直結する面接の前に、素顔で話せる面談の機会を設ける「カジュアル面談」という手法を取り入れる企業も出てきた。この手法を呼び掛けたのが求人情報のSNS(会員制交流サイト)「Wantedly」を運営する新興企業のウォンテッドリーだ。

 同社は、「(企業の)雰囲気が分からない」というオンライン面接への就活生の不満の声を聞き、自社で実践していたカジュアル面談、エントリーシート(ES)不要、通年対応の採用形態を他の企業にも促す「新しい就活様式をはじめよう」プロジェクトを令和2年6月に立ち上げた。

 プロジェクトの賛同企業はWantedlyの企業向け有料プランへ登録。新卒採用で選考プロセス開始前にカジュアル面談を行う仕組み。Wantedlyのサイトでは、給与や労働条件は掲載できず、理念や社員の思いなどへの共感を軸に相性を見極めることになるという。

 これまでに72社が賛同。電子商取引(EC)大手で多岐にわたる事業を展開するBEENOSの直井聖太社長は「事業創造が社是のようなもの」という会社の空気を伝える方法としてカジュアル面談を導入、求めていたチャレンジ精神があり新規事業の中枢に関与できる人材に出会えたと評価する。

 また、ランドセルやカバンなど革製品を製造販売する土屋鞄製造所(東京都足立区)のカジュアル面談で、「何事にもこだわり、極める」職人と対話した大阪の女子学生は「価値あるものに光を当てたい。誰かのために努力できる」自分に気づき、入社の気持ちが高まったと話す。

 新型コロナ禍が長引きオンライン面接が増える中、ウォンテッドリーはカジュアル面談へのニーズの高まりを、Wantedlyの利用企業拡大につなげていきたい考えだ。

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