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電動キックボードの安全利用へ…東京海上とLuupが業務提携 リスク分析、補償検討も

SankeiBiz編集部
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 電動キックボードや小型電動アシスト自転車などの「マイクロモビリティ」のシェアリングサービス「LUUP」を展開するベンチャー企業のLuup(ループ、東京都渋谷区)と東京海上ホールディングスが13日、資本業務提携したと発表した。ループが東京都内を中心に行っているシェアリングサービスの実証実験に東京海上が参加し、“第三者”として客観的な視点で電動キックボードの運用や安全利用に関するリスクコンサルティングを行うほか、マイクロモビリティ向けの新たな保険商品の開発などを目指す。

 第三者の視点で安全利用の方法探る

 電動キックボードは近年、欧米を中心に手軽なモビリティとして急速に普及。日本でも最寄り駅やバス停から自宅までなど、移動の最終区間を指す「ラストワンマイル」を担う交通手段の一つとして注目されている。経済産業省の「実証実験制度」の下ではヘルメット着用なしでの利用が認められ、ループなどが社会実装に向けたシェアリングサービスの社会実験を行っている。ただ、このところは都内を中心に電動キックボードの違法運転が相次いで報告されており、安全性を問題視する声も強まっている。

 ループの岡井大輝社長は共同記者会見で電動キックボードをめぐる状況について、「ユーザーの生活に浸透してきたのか、この2カ月間のサービスの利用拡大がとくにめまぐるしく、一方でインフラの規模が大きくなるほど事故の絶対数も上がっている」と説明。その上で、東京海上との業務提携に関し、「安全面において我々が発想しないような“盲点”がないとは言い切れない。あらゆるプレイヤーに対するリスクを俯瞰的に見て、モビリティにおいて損害保険をリードしてきた東京海上に客観的に安全性を評価してもらうのが望ましいと考えた」と語った。

 具体的な協業内容として、東京海上は電動キックボードを含むマイクロモビリティの安全利用に関するリスクコンサルティングを行うほか、走行データを活用したマイクロモビリティ向けの新たな保険商品とサービスの開発を行う。また、ポート設置場所の拡大や提携先の開拓、安全講習会の実施などマイクロモビリティ普及に向けた啓蒙活動も進める。

 東京海上傘下の東京海上日動火災保険の中西光・デジタルイノベーション部長は「新たな社会ニーズの変化には必ず新たなリスクが伴う。不安を解消し、新たな商品やサービスの普及を促すのも損害保険会社としての大きな役割」と協業に向けて意欲を示し、「走行ルールをめぐる国の検討動向を踏まえた上で、どのような補償のあり方があるのかを考えていきたい」とコメントした。

 日本の現在の法律では電動キックボードは「原動機付き自転車」に該当し、ヘルメットの着用が必須。しかし経済産業省の実証実験制度では、電動キックボードはフォークリフトなどと同じ「小型特殊自動車」と位置づけられるため、ヘルメット着用は任意となっている。実証実験制度での電動キックボード利用には、原付免許ではなく、小型特殊自動車を運転できる免許(普通免許や普通二輪免許など)が必要だ。

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