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自動販売機から「牛タン」 仙台らしくと好評、安心感も

 食肉の加工・卸販売会社「バリューライフ」(仙台市若林区)が、冷凍牛タンを自動販売機で販売する事業を展開し、話題を呼んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続く中、非接触型の自販機販売は24時間いつでも安心して牛タンが購入できることから、消費者にも好評だという。

 コロナ禍で非接触に着目

 同社は飲食店事業の一環として、令和元年に同市泉区で居酒屋「牛たん伝説 和顔(わげん)」を開店。だが、新型コロナの感染拡大の影響で翌2年に店は休業に追い込まれ、当初計画していた2号店出店も断念した。

 そこで、飲食店に代わり、消費者に直接商品を届ける事業を模索。コロナ禍の中、非接触が可能な自販機に着目し、零下20度での保存が可能な新型の冷凍自販機の導入を決めた。

 7月中旬に味付きの牛タンと焼き肉用牛肉が並ぶ自販機を同市内に初めて設置。設置場所を徐々に増やし、10月1日時点で同市内を中心に11カ所、12台が稼働している。予測の約2倍を売り上げる自販機もあったといい、今後、100台の設置を目標にしている。

 お得感のある価格実現

 自販機には「牛たん切り落としねぎ塩味」(240グラム)、「牛ハラミ塩」(220グラム)など500円の商品のほか、上質の部位を使った「極芯牛たんうま味噌(みそ)」(125グラム)など1千円の商品を用意。計8~10種類をそろえている。

 同社はスーパー向けの味付け肉の製造と卸販売を行っており、自販機の商品も自社で調合したたれで味付けしてある。「肉はスライスしてあり、解凍してフライパンなどを使って焼くだけ。子供から年配者まで食べやすい味にしており、家族でおいしく召し上がっていただくことを心がけた」と同社広報担当の庄司真弓さん(37)。

 自社製造や販売などでコストが抑えられ、2~3人前に当たる220~260グラムで500円と「お得感」のある価格が実現できたという。

 家庭でも身近な存在に

 同社の本社前に設置された自販機では、仕事帰りとみられる人たちが商品を購入していた。初めて利用したという同市宮城野区の女性会社員(23)は「牛タンの自販機は仙台ならではのアイデアだと思う。商品もいろいろ種類があり、安心して気軽に買える」と感心。2回目の購入という同区の男性会社員(45)は「物珍しさもあり500円の商品を買ってみたが、値段の割に量があり、おいしかった。いつでも買えるので便利だ」と話していた。

 同社の付偉(ふい)代表取締役(40)は自販機事業について「事前の想定よりも良い結果になっている。一過性のブームに終わることなく、商品をさらに磨いていく。仙台を中心に設置台数を増やし、『和顔』の牛タンをご家庭の食卓にとって身近な存在にしていきたい」としている。(石崎慶一)

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