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電子版「お薬手帳」広がる スマホ・PCで管理、アラーム機能も

ニュースカテゴリ:暮らしの生活

電子版「お薬手帳」広がる スマホ・PCで管理、アラーム機能も

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アイセイ薬局が実証実験を行っている店舗ではタブレット端末を見ながら薬剤師のアドバイスを受けられる=東京都中央区のアイセイ薬局日本橋室町店  病院で処方された薬の種類や服用履歴を記録するお薬手帳。従来は紙製だったが、スマートフォン(高機能携帯電話)やパソコンでデータを管理する「電子版お薬手帳」の利用が広がっている。スマホのアラームで服薬を促すなどさまざまな機能が特徴だ。(竹岡伸晃)

 アラーム機能も

 お薬手帳は紙製・A6判のものが多く、処方薬情報のシールを貼ったり、病歴やアレルギーの有無、副作用履歴などを書き込んだりする。医師や薬剤師に見せることで、薬の重複処方や他の薬との飲み合わせによる体調悪化を防ぐことができる。しかし、「普段、持ち歩かなかったり紛失したりする人が少なくない」(東京都内の薬剤師)。

 調剤薬局約290店舗を展開するアイセイ薬局(東京都千代田区)では12日、「忘れない、なくさない、手軽に携帯できる」ものを目指し、電子版お薬手帳「おくすりPASS」のサービスを始めた。

 アプリ(応用ソフト)をスマホにダウンロードして利用。起動し、店内にあるデータ読み取り機にスマホをかざすことで、薬剤師側と情報が共有される仕組みだ。これまで服用してきた薬の情報などを伝えられるほか、新たに処方された薬の名前、服用量、服用方法などの情報も追加される。

 薬を飲む時刻になったらアラームで通知▽薬の服用状況を自分で記録し、達成率や残薬量、飲み忘れ分の薬の価格を画面で確認-といった薬の正しい服用を促す機能もある。開発担当者の岩崎朋幸さんは「医師や薬剤師が飲み忘れの状況を把握できるため、服薬指導を行ったり飲みやすい薬に変えたりできる」。同サービスは中央区内の店舗で実証実験を行い、秋頃からの全国展開を予定している。

 買い物ついでに

 東日本大震災をきっかけに平成23年、電子版お薬手帳のサービスを導入したのは調剤薬局大手の日本調剤(千代田区)。深井克彦取締役は「お薬手帳を持たないで避難した被災者が多かったが、本社に残っていたデータを基に必要な薬が処方でき、電子データの有用性を強く感じた」と説明する。

 全国に約500店ある同社の薬局では、薬と一緒にQRコードが印字された領収書を渡している。利用者がQRコードをスマホや携帯電話のカメラで読み取るだけで処方された薬の種類や医療費などのデータが保存される。蓄積されたデータはスマホやパソコン、タブレット端末などでいつでも確認できる。今後、飲み合わせや服用について助言を受けたり、ジェネリック(後発)医薬品の情報などを確認できる新機能も検討しているという。

 流通大手のイオン(千葉市美浜区)は24年、同社の電子マネー「WAON(ワオン)」を使ったサービス「からだメモリ」を始めた。会員登録することで総合スーパー内の調剤薬局「イオン薬局」約220店舗で利用できる。

 薬を受け取る際、薬剤師にワオンを渡すと処方された薬の情報が記録され、服薬指導も受けられる。専用サイトでは薬の飲み方の確認や服薬状況の記録などが可能。健康診断の結果や食事、運動、睡眠の状況などを記録し、自身の健康管理にも活用できる。

 買い物ついでに薬局に立ち寄る人が多く、同社では「利用は徐々に増えている」(広報担当者)と手応えを話す。

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