“時短派遣”事務系人材難で急増 即戦力を非正規雇用「パートよりはずっといい」
更新「派遣先の企業は不景気を見越して、人件費をできるだけ変動費化させたがっている」。エン・ジャパン派遣支援事業部の担当者は、時短派遣が増える背景をこう指摘する。派遣社員の年齢や制約条件の緩和が進んではいるが、派遣社員は雇用調整の対象になりやすい。再び景気が落ち込めば契約を切られてしまう可能性のある、不安定な雇用に変わりはない。
日本総研チーフエコノミストの山田久氏は人手不足により「派遣社員に働き方の選択肢が増えている面はあるが、正社員の働き方を見直す前に、安価な労働力として企業が派遣に頼っているのも事実」と指摘する。
しかし働き方の多様化が正社員にも及ぶのは時間の問題だ。少子高齢化により、年功序列や終身雇用といった雇用慣習は崩れ始めている。正社員とはいえ、従来の滅私奉公的な働き方を強いるには限界がある。
山田氏は、加速する働き方の多様化と雇用の流動化に対し、派遣社員に限らず「個人のスキルやキャリアが雇用の保障となる時代がくる。欧州の職業大学や職能資格のような、職場が変わってもキャリア形成を支援する社会の仕組みが求められる」と、政策的なセーフティーネットの必要性を訴えている。(滝川麻衣子)