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【著者は語る】高校教師・菅原晃氏「中高の教科書でわかる経済学 ミクロ篇」

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【著者は語る】高校教師・菅原晃氏「中高の教科書でわかる経済学 ミクロ篇」

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 ■「黒字=儲け、赤字=ソン」は“トンデモ論

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 「中国・日本・ドイツの米国に対する貿易黒字は、米国の雇用を奪う。貿易不均衡・米国の貿易赤字の是正が必要だ」。米トランプ政権の主張です。

 これは近代経済学の父、アダム・スミスが200年以上も前に否定した、重商主義(輸出を伸ばし、輸入を抑え、その差額=貿易黒字が国の富だ!)思想、たたいてもたたいてもよみがえる、ゾンビ思想=いかさま経済学です。しかし、米政権だけではなく、日本や世界の常識も「貿易黒字は儲(もう)け、赤字はソン」と“トンデモ論”になっています。マスコミも同様です。

 「黒字=儲け、赤字=ソン」という一般的な常識(天動説)は、経済学(地動説)では非常識なのです。貿易赤字が米国の雇用を奪う(GDP〈国内総生産〉を減らす)ことなど、原理的にあり得ません。

 さらにトランプ政権は、米の雇用を増やすため、他国企業(トヨタなど)による、米国内投資を歓迎しています。ところが、他国企業による米投資が増えれば増えるほど、米国の貿易赤字は増えるのです。貿易黒字・赤字は、カネの貸し借り(他国の米国への投資=米国の負債増)から生じるのです。ISバランス論といい、経済学部の学生が最初に習う「地動説」です。

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