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なぜ日本は「発達障害大国」なのか 国別統計で常にトップレベルの理由

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なぜ日本は「発達障害大国」なのか 国別統計で常にトップレベルの理由

配信元:PRESIDENT Online 更新

 「Neurodevelopmental Disorders。これが現在の発達障害の英語表記です。つまり直訳すると『神経発達のずれ』。これまで人間は誰もが定型の曲線を描いて発達していくと考えられてきたのが、どうやら人それぞれ発達のスピードは異なり、かつ能力のすべてがパラレルに成長していくわけでもないということがわかってきたんです。発達障害は、決して発達しないわけではなく、発達の仕方が独特で定型発達の秩序からは外れているということです」

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 「Disorder」という言葉が精神医学で初めて使われたとき、専門家たちはどう日本語訳するか悩んだという。いま、日本の医学界では「神経発達症」と呼ぶよう提唱している。「障害」ではなく「症」であることが重要で、たとえば『自閉スペクトラム障害』ではなく、『自閉スペクトラム症』が学界の推奨する呼び方だ。

 ではなぜ世間で「発達障害」の呼び名が一般的なのか。1つには社会概念としてすでに定着しており「発達障害者支援法」や「発達障害者支援センター」など行政用語として使われていること、また実際にその特性が原因で著しく日常生活に支障をきたす場合、障害として認定されることで、障害者雇用枠で採用されるなどの実態もあるからだ。

 発達障害の「カツオ君」は優秀な営業マン

 一方、本田氏は発達障害のプラス面も強調する。「発達障害というとよくないイメージばかりが先行していますが、本来は必ずしも悪いものといい切れないんです。たとえば多動・衝動性が強いADHDの代表的な例としては、『サザエさん』に出てくるカツオ君を思い出してください。おっちょこちょいで思いついたことはすぐに行動に移してお父さんに怒られる。でも、彼がもし営業職などに就いたら、活動的で明るくて、どこか憎めないキャラとして愛されるかもしれません。忘れ物やミスはあっても、さりげなく周囲がフォローしてくれたりして。でももし経理などに就いたら、ミスだらけで怒られる毎日が続くかもしれません」。

 努力できること、できないことの差が極端なため、職業選びは大切だ。日本企業が新卒者に求める一番のスキルは「コミュニケーション能力」との調査結果(図)もあり、これは発達障害のASD(自閉スペクトラム症)には苦手分野といえる。

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  • 画像はイメージです(Getty Images)

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