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(6)「アルムナイ」 “同窓生”の再雇用にメリット

 退職した元社員を同窓会に招いたり、退職後も関係が切れないようにネットワーク作りをする企業が出てきた。こうした取り組みは英語で「同窓生」を意味する「アルムナイ」のキーワードで呼ばれるようになっている。離職でスキルを眠らせていた主婦らの再就職から、転職でよりスキルアップした元社員の積極活用まで、アルムナイの力が求められている。

 ◆社風・理念に理解

 保育サービスの「ポピンズ」(東京都渋谷区)は昨年12月、退職した保育士らを招き、初の同窓会「ポピンズアルムナイ」を開催。都内のホテルに約300人を招待し、同社を退職した保育士らと現役の社員・保育士らが旧交を温めた。その際、アンケートで「再度保育業務に就きたいか」などを尋ね、意向を示した人に連絡。約30人がポピンズで再び働くことを決めた。

 9年ぶりに復帰した金田友美さん(40)は自宅近くの横浜市の認可保育所「ポピンズナーサリースクール綱島」で働く。かつて別のポピンズの園で保育士として働いていたが、結婚などを機に退社していた。

 「子供が小学生になり、もう一度働きたいと思った矢先に同窓会があった。懐かしい元同僚と話して心も決まり、働く気持ちにすっとなれた」と金田さん。パートタイムだが、勤務歴を考慮して時給も少し上積みされ、「ありがたい。励みになる」とやる気だ。

 同社執行役員の吉田敬子さんは「かつて働いてくれていた人は社風や理念への理解がある」と元社員の復帰を歓迎する。離職中の子育て経験も、「保護者の悩みに寄り添える」(吉田さん)と、プラスに捉えている。

 ◆即戦力を求めて

 アルムナイ人材へのニーズは、結婚・出産による退職者に限らない。人材不足の中、社外で経験を積んだ元社員の知恵を借りたいという企業もある。人材総合サービスの「エン・ジャパン」の昨年の実態調査では、元社員を再雇用した経験があると回答した企業は72%。理由(複数回答)を見ると、安定した力量への期待と人材難の背景がうかがえる。

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