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ふるさと納税の新常識「GCF」ってなんだ? 小さな地方の自治体も熱視線

 返礼品競争の過熱が問題視される「ふるさと納税」の新しい寄付の募り方「GCF」が広まり始めている。「ガバメントクラウドファンディング」の略で、企業や個人など事業者が使い道と目標金額を具体的に示し、インターネットを介して出資を募る「クラウドファンディング(CF)」の自治体版だ。地域振興などの施策を進めるのにも活用できるとあって、とりわけ財政規模の小さな地方の自治体などが熱い視線を送っている。

 1.5倍に増加

 GCFはふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(東京)が考案し、平成25年から始めた。使い道は福祉や教育など大まかな分類ではなく、密漁抑止用のドローンシステム構築、歴史的人物の石像の周辺整備、乳児の搬送用保育器購入など具体的に示して寄付を募っている。

 1年目は、埼玉県宮代町が地元の山崎山の環境保護を目的とした1件だけだったが、目標額500万円を大幅に上回る939万円を集めた。これが注目され、取り組む自治体が増加。同社によると、ふるさとチョイスでは25~30年の6年間で累計226件だったが、今年は10月1日時点で92自治体が346件実施し、約1.5倍になった。

 返礼品は事業の成果品だったり、中にはそもそも設定されていなかったりするが、具体的な寄付金の使途目的を知り、取り組みへの共感が生まれることで寄付行為につながるようだ。広報担当者は「子供の教育、イヌやネコの動物保護に毎月のように寄付する人もいる」と話す。

 また、高額返礼品の問題により、ふるさと納税の返礼を寄付額の3割以下の地場産品にするようになったことで、各自治体が寄付を受け付けるメニューを見直したことも背景にあるとみられる。

 事業にスピード感

 福井県越前町の越前焼工業協同組合が今年4月、文字盤周りに越前焼の装飾を施した腕時計「匠の刻(とき)」を発売した。釉薬(ゆうやく)を散らした大理石のような模様が特徴的で7万円(税抜き)と高価だが、10月までに30本が売れる人気ぶりという。

 この開発費用の100万円を捻出するのに利用したのが、福井県のGCF「ふるさと納税による新事業創出支援事業」。昨年、CF運営会社のREADYFOR(レディーフォー、東京)との連携で始めた取り組みだ。

 この取り組みでは、公益性や公共性があり通常の補助制度の対象となる可能性があるものについて、福井県が認めた県内事業者や団体が事業主体になれる。この手法は増え始めていて、レディーフォーによると、28年12月以降で59件あったGCFの36件で地元事業者が事業主体になっていた。

 メリットとして福井県定住交流課は「事業を実施できるまでのスピードが早くなる」とする。ある事業を行う場合、その事業に見合った補助制度がなく、新設すると、1年はかかる。だが、GCFを使えば、目標金額の達成が条件となるが、数カ月で事業化の道筋ができるからだ。

 同課は、GCFについて「自治体にとって地域支援施策に選択肢が増えたことになる。地元応援というふるさと納税の趣旨にも合い、新たな意義を見いだせる」と話した。

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