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(165)人生観 楽観的な人は長生きするか

 世の中の人を2つに分ける方法はいろいろありますが、楽観的か悲観的かというのもその一つでしょう。辞書を調べると楽観的というのは、物事をうまくゆくものと考え心配しないことで、悲観的というのは、先行きに望みはないと考えることとあります。悲観的でいたいという人はあまりいないでしょうが、自分ではそうしたくなくてもつい悪い方悪い方へと考えてしまうものなのでしょう。

 私のクリニックを時々受診する50代の女性患者さんは、いつも何かしらの心配事を抱えています。というよりも、心配事を悩むあまり体調が悪くなったり、それがまた大きな病気なのではないかと心配になったりしてクリニックにやってくるようです。ちょっとしたことでも悪い方に捉え、動悸(どうき)が止まらなくなるといいます。

 楽観的か悲観的かで心血管病や死亡率に差があるかどうか、今までの研究をまとめて評価した結果が、9月に米国の医学雑誌に発表されました。解析に用いられた研究論文は15本で、対象は総勢20万人、平均観察期間は約14年。結果は楽観的な人は悲観的な人に比べ、心血管病の発症が35%少なく、死亡率についても楽観的な人の方が14%低くなっていました。

 これとは別の、今年発表された米国での研究でも、楽観的であることは長寿と関係しており、85歳以上まで生きる可能性が高くなることが報告されています。

 理由の一つは生活習慣にあると考えられます。楽観的な人の方が食事の質が良く、運動もよくするということが報告されています。

 これらの研究はもともと楽観的か悲観的かで分けて観察したもので、悲観的な人が楽観的になったときに健康になるかを調べたわけではありません。しかし気の持ちようで病気や寿命が変わる可能性があるなら、楽観的でいようという心がけは無駄ではない気がします。注意してほしいのは、健康についてはきちんとした食事をとったり体を動かしたりするという前向きな行動が大切なのであって、病気にならないと過信することではないということです。(しもじま内科クリニック院長・下島和弥)=次回は12月12日掲載予定

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