ヘルスケア

iPSがん化、画像で確認 再生医療より安全に

 体に移植した人工多能性幹細胞(iPS細胞)が、がん化していないかどうかを陽電子放射断層撮影装置(PET)画像で確認する仕組みを、慶応大の岡野栄之教授らのチームが開発し、米科学誌に6日発表した。体を傷つけずにiPS細胞の状態を確認することが可能で、問題があれば切除などの対策を早期に行えるため、より安全な再生医療の実現につながると期待される。

 移植したiPS細胞などの幹細胞が目的の組織に成長しないで未熟なまま増えると、がんができる一因となる。チームは、未熟なままの神経幹細胞や、中枢神経のがん細胞で増加するタンパク質に着目。マウスにこのタンパク質にくっつく目印となる物質を投与した後、PETで観察すると、未熟な細胞が集まったがん化が心配される部分を特定することができた。

 慶応大はスポーツ中のけがや交通事故で運動の機能や感覚を失った負傷後2~4週の脊髄損傷患者に、iPS細胞から作った神経のもとになる細胞を注射で移植する臨床研究を準備している。岡野教授は「iPS細胞の移植後の経過に問題がないか観察できる。大型動物でも効果を確かめ、細胞移植と併せて使えるようにしたい」と話している。

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