ブランドウォッチング

レガシーメディア再興か ラジオがネットでパワーアップ、ラジコになった

秋月涼佑
秋月涼佑

 インターネットがラジオの弱点を克服

 そんな実に楽しいラジオなのですが、マイナーメディアとしての地位に甘んじてきた理由は、やはり音声だけの情報量がテレビに対して圧倒的に不利でメディア接触の習慣を奪われてきたことが大きな理由かと考えます。またもう一つ感じるのは、電波媒体の特性上アンテナ受信が必要にも関わらず、ありがちな普及価格帯のラジオ受信機はノイズが多かったり、音も悪かったりで、その魅力の全貌を伝えてくれなかったということもあったかもしれません。

 でも気が付けばインターネット時代に入り、ラジオはその弱点を克服していました。それが2010年在阪ラジオ局、電通等を中心に設立された株式会社radikoが提供するアプリradiko(ラジコ)です。

 一言で言えば、インターネットラジオのサービスで、専用アプリを使って提供されます。現在ではNHKや、民放連加盟101局中93局など日本全国ほとんどすべてのラジオ局が参加しており、事実上のラジオコンテンツの公式アプリとなっています。位置情報で自分が今いる地域のラジオ放送であれば、サイマル(電波との同時)配信に加えて1~2週間程度の過去番組を誰でもアプリをダウンロードして無料で聴くことができます。また、月額350円(税別)のプレミアム会員になれば全国のラジオ局の放送を聴くこともできます。すでにアプリダウンロード数3000万超、月間アクティブユーザー800万超、プレミアム会員60万超ということですから立派なものです。

 ながら視聴できる特性がパソコン作業と高相性

 実際にラジコをスマホにダウンロードして聴いてみれば、ノイズも途切れもまったくないクリアな音質に驚きます。先述したラジオ放送ならではのイヤな点をまったく感じさせないのです。しかも基本的にタイムシフト機能で各局の1~2週間分の番組表から自由に番組を選べるので、リアルタイムで深夜放送や昼の番組を聴くのが難しいサラリーマンにもうれしい仕様です。

 今や誰もが移動中などヘッドホンで何かを聴いている時代。Spotifyなど定額ストリーミングで音楽を聴くのも良いのですが、やはりプロのトークをふんだんに聴けるラジオ放送ならではの魅了というモノも間違いなくあります。しかも”ながら”視聴できるラジオは、実はパソコン作業との相性が抜群だったりもします。

 まさにルネッサンスではないですが、レガシー(伝統的な)メディアしかも一番小さなメディアだったラジオが、インターネットを味方につけてそのポテンシャルを開花させようとしているようにさえ感じます。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング