ヘルスケア

東京都の新規感染者、1週間ごとに倍増ペース 家庭内への感染連鎖に懸念

 東京都の新型コロナウイルスの新規感染者が連日200人を超え、1週間ごとに倍増するペースが続いている。入院患者や重症者といった医療態勢に余裕はあるものの、ホストクラブなどの「夜の街」関連から家庭内、若年層から中高年層への感染連鎖が懸念され、市中感染の広がりを示す経路不明の感染者の増加や陽性率の上昇などデータ上も予断を許さない。

 都内の新規感染者は6月24日に50人を超え、今月2日から100人台が続き、9日に224人、10日は243人と過去最多を更新した。都関係者は「土日に体調不良で、週明けに検査を受けた人の結果が3日後ぐらいに判明し、感染者が急増する傾向が続いている。週末の会食で感染する例があるようだ」と指摘する。

 感染者数の増加は検査数の増加で説明がつくが、危惧されるのは夜の街関連から家庭内、地域社会への感染の波及だ。「大人数の会食では感染者が多く出ており、こうした場には40~50代も参加している。家庭内で高齢者に広がるとリスクが高まる」(都関係者)

 経路不明の感染者(7日間平均)も9日時点で52・1人と増加傾向にあり、このままの状況が4週間続くと、経路不明の感染者が約7倍になるとの専門家の分析もある。検査数に占める感染者の割合を示す陽性率(同)は、緊急事態宣言中でピークだった4月11日の31・7%から一時1%未満に下がったが、今月8日時点で5・8%まで再び上昇し、感染拡大の目安とされる7%に迫っている。

 余裕があるとされる医療態勢も9日に警戒度が1段引き上げられた。東邦大教授で日本感染症学会の舘田(たてだ)一博理事長は「100人、200人の感染者が続くと入院患者が蓄積し、医療態勢が逼迫していく可能性がある」との見方を示す。

 さらに「危険な場所や業種とそうでないところを明確に分け、集中的に感染を抑えるなどメリハリある対策を取れるかが重要」と強調。「新宿や池袋など夜の街で無症状の人が感染を広げているなら、地域全体を検査するつもりで感染者を隔離すべきだ。1カ月間も続ければかなり収束するだろう」と話した。

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