がん電話相談から

卵巣がん手術後、化学療法5年以上を経て再発

 Q 50歳代の女性です。平成26年2月に卵巣がん手術(病期は卵巣に限局するI期)を受け、癒着(ゆちゃく)強度のため子宮頸部(けいぶ)は残存となりました。術後化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン=TC療法)6サイクルで治療を終了。ところが、約5年後の令和元年に腫瘍マーカーCEA(がん胎児性抗原)が29・3(ナノグラム/ミリリットル=単位、以後略)に増加したので、再発疑いで画像検査を開始。5カ月後にCEAは73に増加し、MRI(磁気共鳴画像)検査で、骨盤後方に長径1・7センチの再発腫瘍が発見されました。TCを6サイクル実施したところ、腫瘍は消失しましたが、CEAは基準値の5・0以下には下がらず、最後のTC治療後2カ月を経た今年7月、CEAは27に再上昇しました。今後の治療はどうすべきでしょうか。

 A まず、治療開始時期について説明しましょう。すぐに治療を開始する場合は、TCとは異なる化学療法を選択します。これに対し、画像検査で今後、再々発病巣が認識されるまで慎重な経過観察をすべきだという考え方もあります。

 Q 経過観察はどのような考えからですか。

 A それは進行期がI期の卵巣がんであること、約5年という長期間を経ての再発であること、骨盤内再発病巣は1個で長径1・7センチと小さくTC療法で消失していること、さらに無症状であることなどから、緊急に対処しなければならない状態(腹水貯留、腸閉塞(へいそく)などを伴うがん性腹膜炎)にはないという考えからです。また、単独骨盤内再々発病巣が画像検査で認識できれば、今後、局所治療(手術など)の可能性も検討できるためです。

 Q 手術などの可能性もあるのですか。

 A 今回のケースでは、腹部手術(卵巣や子宮の一部切除)の既往歴があることなどから、骨盤内病巣の摘出手術は技術的に困難なことが多く、患者さんの身体的な負担も大きいと思われます。しかし、TC療法の効果が不十分であったことから、セカンドラインの化学療法にも大きな期待はできないと予想されます。そこで、どちらかと言えば、摘出手術を勧めたいと考えます。

 Q 卵巣がんはいつ頃、再発することが多いですか。

 A 卵巣がんの再発は、一般に進行期I、II期の根治手術後であれば、手術後1年6カ月前後に発現することが多く、全体では再発の80%は2年以内です。5年以上を経た後の再発は1~2%ぐらいです。

 Q 放射線療法や重粒子線は可能でしょうか。

 A これまで受けられた手術で、骨盤内臓器の癒着が強いことが分かっており、放射線治療ですと、ほかの臓器まで痛める可能性があり、治療するならば、手術を優先すべきだと思います。重粒子線治療も放射線治療の一つであり、同じ理由で今回のケースでは勧められません。(構成 大家俊夫)

 回答は、がん研有明病院の瀧澤憲医師(婦人科前部長)が担当しました。

 「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月曜日から木曜日(祝日除く)午前11時~午後3時に受け付けます。電話は03・5531・0110、無料。相談は在宅勤務でカウンセラーが受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

■重要な腫瘍マーカーはCA125

 卵巣がんの腫瘍マーカーにはCA125、CA19-9、CEAなどがある。瀧澤医師は「一番重要でよく用いられるのはCA125です。今回のケースのようにCA125とCA19-9が正常値にあり、CEAが腫瘍マーカーになるのは極めてまれです」と指摘する。

 そのうえで瀧澤医師は「腫瘍マーカーの増加を認めたらすぐに化学療法を開始するのと、画像検査で病巣が認識された後に治療を開始するのとでは、経過(治る率、死亡までの生存期間など)に有意な差はないという報告があります」と解説する。

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