講師のホンネ

夫の見えない部分を見ようとして離婚を回避した女性

 缶コーヒーのCMで「世界は誰かの仕事でできている」というのがあります。私はそれを見るたびに、私たちは常に見えない誰かに支えられているのだと感じます。考えてみると、世の中は見えているものより、見えていないものの方が圧倒的に多いです。コロナ禍の中、直接人と会う機会は激減。だからこそ見えない誰かを考えることも増えたように思います。(國本ひろみ)

 先日、見えない部分を見ようとして離婚を回避した女性と出会いました。夫は、仕事から帰ってくると夕飯を食べてすぐに2階に上がって寝てしまうため、夫婦の会話がほとんどないということでした。子供のこととかいろいろ話したいことがあるのに、その機会もなく「私や子供は大事じゃないのか。私の気持ちを分かってもらえない」と思うと悲しくて、怒りがこみ上げて文句しか出てこず、夫を責め続けていたそうです。

 夫は「触らぬ神にたたりなし」と、さらにしゃべらなくなり、その女性の機嫌はどんどん悪くなって離婚を考えるようになりました。

 そんなある日、彼女はふと思います。夫の仕事は自衛官。大地震や台風で被害に遭った地域に奔走していて、何日も家を空けることがあります。「夫が夕飯の後すぐに寝てしまうのは、もしかして私たち家族を大事に思っていないからではなく、ただ、とても疲れているのではないか」。そういえば疲れた顔を見たことはないし、愚痴をこぼすのも聞いたことがありません。「ということは、この人は思いやりのある人、頑張っている人じゃないか」。そう思えてからは、「お疲れさま」という優しい言葉が自然と出たそうです。妻に「お疲れさま」と言われた夫は、どうしたと思いますか。

 「ダブルの布団、買いに行こうか」と言ったそうです。自分の気持ちを分かってほしいと思い、自分のことばかり考えていたときは悲しみばかりでしたが、愛を込めて想像力を働かせると、夫の印象がガラリと変わり喜びに変わりました。目に見えないものを感じようとするだけで、支えられているということが思い出され、感謝にもつながります。そして自分もまた誰かを支える存在であると思うと、自信が持て今日もまた頑張れます。

【プロフィル】國本ひろみ(くにもと・ひろみ) 1963年、大阪府出身。手相心理カウンセラー。親子間の問題を「手相」と「UMIカウンセリング」を用いて解決に導く手法には定評がある。また、「手相を写真に撮って送るだけ」という手軽さも手伝って、その活動は、日本国内にとどまらず海外からも人気を集めている。第10回「全国・講師オーデイション」ファイナリスト。

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