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県営住宅での孤独死を減らせ 新潟県の若手職員が新たな取り組み

 新潟県の若手職員の発案で、県営住宅での孤独死を減らそうとする新たな取り組みが始まった。県とコンビニエンスストア、地元商店、社会福祉法人がタッグを組み、新潟市内の県営住宅で移動販売を実施する。高齢化が進む入居者の見守りだけでなく、地域活性化や障害者の就労機会の拡大と“一石三鳥”の効果が期待できるという。(本田賢一)

 若手で突破口を

 県は、若手職員の柔軟な発想で社会的課題解決などの突破口を開く試みを行っている。県営住宅での移動販売もその一つだ。

 この取り組みが行われているのは、同市北区にある県営早通南(はやどおりみなみ)住宅。高度成長期の昭和43年に完成した県内最大級の県営住宅で、3月末時点で全518戸のうち419戸が入居している。入居世帯に占める高齢者世帯(65歳以上)の割合は3月末時点で約26%。4世帯に1世帯が高齢者世帯で、孤独死も起きているという。

 10月21日から始まった移動販売は11月18日までの毎週水曜日、午後1~3時に県営住宅の空き駐車場4カ所を順に回る形で試験的に行っている。県建築住宅課の細川太地主任は「結果によってはさらに期間を延長する。最終的には県内全体への水平展開を目指す」という。細川氏は、同課の山際誉主任とともにこの取り組みを立案した。

 この取り組みの報告を受けた花角(はなずみ)英世知事は「事業化まで持っていってほしい」と期待を寄せる。

 移動販売に参加しているのは、コンビニ大手のローソン、地元商店「紀の屋」(同区)、社会福祉法人・愛宕福祉会(同区)。

 ローソンは保有する移動販売専用車両を使って総菜や乳製品、菓子、日用品などを販売。紀の屋は生鮮野菜、果物、日本酒などを、愛宕福祉会は障害者就労施設で作った焼き菓子、生麺、手芸品などをそれぞれ販売する。

 実際に現場を訪れると、県営住宅の入居者が次々と集まっていた。県営住宅の自治会長を務める佐藤郁雄さん(72)は「定期的な買い物の足しになり、ありがたい。注文したものを次の週に持ってきてくれると、もっと便利になると思う」と話した。

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