■1200年伝わる価値を綿密に調査
日本の印刷物は、8世紀の「百万塔陀羅尼(だらに)」が始まりとされる。本書では、現代まで1200年を超える印刷の歴史を探り、その価値を考察する。
平安時代の菩薩の図像が印刷された仏教版画、鎌倉時代から室町時代までの仏教寺院が印刷した経典、安土桃山時代から江戸時代初期には豊臣秀頼、徳川家康らによる印刷・出版合戦が繰り広げられたという。そして現代、機械化と電子化で印刷技術が進歩し、大部数から多品種の印刷物まで短時間で多様に製作される時代に。
綿密な調査から、紙に残された印刷の文化としての重要性が見えてくる。(講談社、2000円+税)